丸太の土木資材利用方法について 土留編

2017年8月18日おすすめ記事

伐採後に多く得られる丸太ですが、広葉樹ばかりの森林だとなかなか通直なものが得られず、何かの材として利用するのが難しかったりします。
製材したりチップ化したりするのも、素人ではかなり面倒ですからね。

結局伐採したものの利用方法がよくわからなかったり、利用が面倒だということで、通直な丸太が得られる針葉樹林内での伐採でさえも、そのまま切り倒したままにして腐らせてしまっていることが多いです。
でもそういうのって、結構『もったいない』と思いませんか?
使いづらいと思われる丸太ですが、どうにかして有効活用できないだろうか。

…というようなことは多くの林学者、林野庁などが考えており、集材の採算が取れずほったらかしにされている人工林の間伐材丸太を利用するための技術が、各地の研究センターで多く開発されております。
この記事はそのような技術の中でも、法面や段差の崩壊、土壌侵食を防ぐための土留(どどめ)の技術、特に個人でも施工可能なもののみを自分なりにまとめたものです。
学問系統の中では広く言えば「林学」・「土木工学」となりますが、狭く言えば「治山工学」・「砂防工学」となるでしょうかね。

土留が出来れば、斜面の多い山林内にも平地を作りやすくなります。
平地が作れれば、建築、道の造成、果樹や野菜の栽培も行いやすくなるでしょう。
この記事内の技術ではコンクリートを使わないので、山林内にミキサー車が入れるようにする必要もなく、よって小規模な山林生活にはかなり向いている技術なのではないでしょうか。

 

色々調べてみたら丸太土留の種類は、杭を打つものとほとんど打たないものの二種類に分かれるようです。
というわけで、その二種類に分けて技術をご紹介していきます。
画像はクリックすると大きなものを表示できます。
それではどうぞー↓

 

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杭打ち型

特徴としては、
・基本的に壁面が垂直であり土地を広く利用できる。
・線的に施工するだけでよいので面積的には施工量が少ない。

デメリットは、
・杭打ちが大変。
・土の圧力によって杭を支持するので、壁面を高くすることが難しい。壁面を高くしたいなら、太くて長い杭を深く打ち込まないといけない。
・盛り土側ではしっかりと土を圧締しなければ、杭の保持力が弱くなりがち。
・杭が腐りきると保持力が無くなるので、その前に杭を打ち直したりする必要ある。

 

基本的に治山用の杭では山側からかなりの横荷重がかかるので、地上部の長さ以上は地面に埋めないといけません。
例えば、1mの壁面を作りたいなら2mの杭を用意して、1m打ち込むなど。

 

丸太柵工・筋工

基本的な杭打ち型土留です。
杭と横木を用意し、番線やボルトでそれらを留めていきます。
まあ土の圧力もあるので、施工を少し慎重にやれば杭と横木を繋げる必要も無いかもしれませんが。

土中に杭を打ち込んで、ワイヤーなどで土中杭と横木を繋げる方法もあります。
こちらのほうが面倒ですが、土留としては優秀です。

 

帯梢編柵工

(井納建設株式会社様より)

柔らかめの細い木を使って、杭に編んでいく方法です。
除伐木も有効活用できるので、無駄になる資源が更に少なくなります。
ただし、丸太よりも土・空気と触れる表面積が多くなるため、横木が腐りやすい恐れがあります。
一時的なもの、段差の低いものに使用するのが良いのではないでしょうか。

なお、この工法では割竹も利用可能です。
割竹利用の場合、外側に竹の外側を向けると強度的に良いらしいです。(参考:雨男が来た!)

 

連柴柵工

(新潟県粗朶業協同組合様より)

細い木々を縄やワイヤーでまとめ、杭と番線で繋げていく方法です。
上記の帯梢編柵工よりも更に短い材を使用することが出来そうです。
こちらも結構腐りやすそうですが、小魚などの生物が潜む場所にもなるので、河岸などにもよく使用されるようです。

 

丸太法(のり)枠工

丸太をボルトで格子状に繋げ、法面の浸食を抑える方法です。
腐る前にこの格子内に植栽するなどして、植生の回復を早めることができます。

 


杭無し型

このタイプでは、杭に代わって背面の土に埋める控木が必要となることが多いです。
控木は土の圧力で保持されますが、横木はそのままではスポンと抜けてしまいますので、ちゃんと控木と連結したりする必要があります。

特徴としては、
・壁面を高くしやすい。
・杭を(ほとんど)打つ必要が無い。

デメリットは、
・控木を土に埋めるのが面倒。
・横木固定用の資材が必要になりやすい。
・控木の大半は土に埋めるので腐りにくいが、腐った場合交換が難しい。
・勾配をつけないといけない。
・必要面積が多い。

 

丸太積工

丸太積工は杭を打たないタイプの中では、最も基本的なものではないでしょうか。
横木の固定方法は、丸太アンカーと、番線、ボルトなどとなります。

ちなみに自分の場合は丸太アンカータイプで、進入路の造成にチャレンジしていました。

 

丸太アンカー&ワイヤー

 

番線留め

 

木製ブロック積工

丸太同士をボルトやコーチスクリューで留めまくって、横木や縦木をパネル状にする方法もあります。
こちらのほうが施工は面倒ですが、強度はある、のか?

 

L型木製土留工

材をL状に繋げ、金具で端と端を繋げることで、上手く土の圧力を利用する方法もあります。
縦木同士を繋げるためにもんのすごく長いボルトが必要になりそうなので、ホムセンの材料だけではなかなか施工が難しいかもしれません…。

 

丸太伏工

丸太を法面上に並べまくって、かすがいなどで留めていく、簡易な土壌侵食防止方法です。
丸太の間からは草木が生えてきにくそうなので、デザイン性の良い防草シートみたいなものとして使用するのが良いかもしれません。

 

色々調べてみましたが、どっちかというと、杭打ち型は切り土側(山側)に、杭無し型は盛り土側(谷側)に設置するほうが強度と施工性のバランス良さそうです。
切り土側を更に削って控木を設置するのは面倒だし、土がまだふわふわな盛土側では杭が不安定になりやすそうですからねぇ。

 

余談ですが、土木工学は英語で『civil engineering』、つまり市民の工学なのです。
セルフビルドだけでなく、土木工事も自分たちで行う「セルフ土木」なんてものも流行ると面白いかと思います。

Let’s DIY!(Do It Yourself !)
我々住民たちの力で、住みやすい社会を作ろう!

 

この記事の参考文献

関東森林局 木材を利用したいろいろな工法 (http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/policy/business/santi-saigai/mokuzairiyou.html)

カラマツ間伐材を利用した丸太法枠工・簡易土留工について
(http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/gijyutu/pdf/s601_131.pdf)

北陸粗朶業振興組合
(http://www.soda.gr.jp/kouhou1.html)

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