独立基礎の羽子板付きコンクリート沓石をDIYで作ってみる『北面下屋』

2017年5月10日下屋

下屋は壊れても大きな支障は無いため、居住小屋建設より冒険が出来ます。

というわけで費用を抑えるため、沓石を自作してみることにしました。

 

遣り方などの準備は前回です↓

 

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作るものの概要

6畳小屋DIYの時でも使った、市販の羽子板付き沓石に似たものを作ろうかと思います。

高さ300mmだと、1個約1,000円。

市販のものを設置したときの体験談は以下の記事。

 

独立基礎の自作例としては、高さ調整・コンクリや鉄筋を入れやすいボイド管型、「セルフビルドでお気楽生活」さんみたいな合板箱型などのような方法があります。

このような方法だと高さ調整がしやすいので基礎の上にそのまま土台の横架材を乗せたりすることが出来るのですが、今回作るのは柱を乗せるためだけのものであって、無理に高さ調整をする必要はありません。
ですので求められるものとしては柱と沓石をつなげられる金物が付いていること、沓石自体が転びにくい構造です。

お手軽にKoyaLifeさんのような沓石を作ろうと思ったのですが、仮設小屋が浮いたということもあったようなので、ちょっと形吟味しないといけないように思いました。
やはり直方体のものを埋めるだけでは、抜けやすかったり転びやすかったりするのではないでしょうか。
というわけで、形は市販のものと同じ台形にすることにしました。
これなら直方体のものより土が覆いかぶさって動きにくくなる、ような気がします。

コンクリは圧縮に強いですが引っ張りには弱いです。
なので引っ張りに強い鉄筋を入れて強度を上げることが多いのですが、今回は入れ方が分からないので入れず。
…出来れば竹筋にしてみたかったけど。
また別の機会にチャレンジしてみましょう。

 

型枠づくり

2017年3月22日沓石自作にチャレンジ!

型枠には端材12mm厚合板を用い、接合は野縁で行います。
コンクリ型枠の基本的な作り方ですね。

寸法は市販の高さ300mmのものと同じで、上端幅は140mm、下端幅は230mmの台形です。
でも野縁で繋ぐので、上下幅は40mmほど幅広くしておきます。

こういう単純な台形合板を、4枚製作。

台形斜辺と同じ、もしくはちょっと短い野縁を端につけて接合ポイントとします。

ビスの長さはまあ適当で良いでしょう。
合板内側に突き抜けても沓石全体の強度はあまり低下しないかと思われます。

というわけで型枠完成
ビス留めなのでインパクトドライバーを使えば取り外すことが出来、使いまわしが出来ます。

設置時は上端の部分を天端レベラーで水平にすると、水平器いらずで設置出来るんじゃないかと
コンクリートで製作済みのものを、改めて設置する場合、上端を水平にする手間がありますからね。

型枠がいっぱいあると一気に施工が出来るのですが、そんなに急いでないしドケチなので、1or2日に一個ずつ沓石作っていこうかと思います。

 

コンクリートを練る

3月23日、とりあえずいっぱい砂と砂利と天端レベラー買ってきました。
文章だけだと一瞬で書き記せるのですが、搬入がマジ大変でした…
はやく進入路上を軽トラが走れるようにした~い!

小屋建築時のモルタル施工時、セメントの比重を間違えて計算したことがあったので、ちゃんと重量計で比較してみることにしました。
結果、セメントと砂の比重ほとんど変わらんやん!
やっぱり他人の言うことを条件を見ずに鵜呑みするより、自分で調査したほうが確実なのかもわからんね。

セメントと砂のモルタルは施工したことがあるのですが、砂利を追加したコンクリートの施工は初めてです。
普通はセメント:砂:砂利=1:3:6くらいのようですが、強度が必要な箇所は1:3:4のようです。(ホムセンで配布のDIY小冊子より)
というわけで、型枠を安定させて置くための捨てコンは1:3:6にして、沓石本体は1:3:4くらいにしてみましょう。
大量のコンクリ使う土木業者ならいざ知らず、セルフビルダーにとっては多少セメントの割合増やしてコンクリの単価上げてもあまり支障はありません。

空練りしてから水投入。
砂利が入っているからか、モルタルと比べたら遥かに練り物感はありません。
(練り物感ってなんだ?すまん…わからん…)

 

捨てコンを入れる

大きい石を使いまくったおかげで凸凹になっている砕石表面を、捨てコンクリートを流し込むことでなだらかにします。
これが沓石接着層にもなります。
もちろんこの時も、足や棒で空気を抜いておきます。

ちょっと水多めに練ったはずですが、型枠が無いとすぐに水が土にしみこんでいきました。
以前、一瞬だけ「土を型枠にすることって出来るのだろうか?」と考えたことがあったのですが、水が染み込みまくるからちょっと強度落ちるかも。
やっぱり型枠あったほうが良いでしょうね。

なお、予め作られた市販の沓石などを使う場合、この上にモルタル(セメントと砂を混ぜたもの)を入れてから設置することになります。
が、今回は沓石をそのまま捨てコンと接着するため、モルタルは必要ありません。

 


羽子板を付ける

沓石と柱を繋ぐ金物を用意します。
用いるのは羽子板ボルトです。
ここまでは他の人の自作沓石と同じですが、自分は2枚用いることにしました!

その理由は、一枚だけだと羽子板側に柱が傾く可能性があるからです。

小屋建築時に市販の羽子板付き沓石を用いてコーチスクリューで締結したのですが、そのときに若干羽子板側に床束が傾くときがありました。

まあ確かに、羽子板一枚だけだとこのように傾くのもわかります。
今回作る建築物は、柱上部にのみ方杖などの剛性を増加させる部材がありますが、柱下部には根がらみみたいなものは取り付けない予定です。
なので沓石と柱の接合を強力にしなければ、柱下部がずれて沓石から落ちてしまう危険があります。

そのような危険を最小限にするためにも、ダブル羽子板とすることにしたのです。
もちろん、2枚使うので単価は少し上がります。

ダブル羽子板の場合、シングル羽子板よりも柱厚さに対する柔軟性が少なくなります。
なので取付前にちゃんとどのサイズの角材を使うのかを決めなければなりません。

今回自分が使う予定の角材は、90mm角材です。
羽子板どうしの距離は、若干余裕を持たせて95mm程度としました。
打設時の距離の調整は、適当なボルト&ナットで。

 

コンクリートの打設

準備が整ったので沓石設置&製作開始です!

下げ振りで位置を確認しながら型枠を置きます。
水平の調整は天端レベラーで、若干の平面位置調整は羽子板ボルトで行う予定なので、ここではある程度の精度のみ。

型枠の位置が大体決まったら、コンクリート(今回は体積比1:3:4)を練ってちょっとずつ入れていきます。
コンクリはモルタルよりも気泡が入りやすく、ちゃんと抜いていかないとジャンカになって通常の強度の半分くらいになってしまうとか(参考:wikipedia)

もちろん土木業者のような振動機は持ってないので(昔、職場体験で使ったことがある)、棒でガシガシ押しながらちょっとずつ打設していきました。
振動機やコンクリートポンプが無かった時代はタコや突き棒で締め固めていたそうな。(参考:コンクリート用振動機の使い方)

コンクリートの重さで型枠が少し浮いてくるので、そういうときは型枠に乗って足で踏み踏みしてやるとちゃんと地面に接着しましたし、気泡も少し抜けた気がします。

水の量はかなり適当にやりましたが、このくらいで良いんでしょうか…。
水少なめに施工したらそれはそれで空気が入りやすそうですし、でも硬めのほうが棒で押しやすいというのもあるし、コンクリ練りも職人技術なのかいな。

型枠上端よりちょっと下くらいまでコンクリートを入れ終わったら、羽子板ボルト設置です。
ただしある程度固まらないと全く固定できませんので、最初は大体の位置を下げ振り使いながら決めるだけ。

少々休憩したりコンクリ練りに使用した一輪車を洗いながら時間を潰します。
コンクリ使用量は、大体30㎏くらいでした。
ちょっと固まってきたら、羽子板ボルトの位置をさらに微調整。

 

天端レベラー

最後の仕上げは天端レベラーを使います。
単価がセメントの3,4倍する高価なもの(?)ですが、これがあればとろ~りと流動することで水平調整と表面仕上げが出来るわけです。

これが無いときは左官職人さんが仕上げていたとか何とか。
ホムセンに水平器付きコテが売ってあるのも、こういう仕上げをやるときに便利だからなのでしょうね。

沓石・柱中央部には湿気が溜まりそうなので、12mm厚野地板を細工して凸状にして、型枠に引っ掛けて溝を作ってみることにしました。
これで基礎パッキンが必要にならないかも?
でも柱接地面積が減って天端レベラーが凹む可能性が微レ存?

準備が整ったら、型枠上端まで天端レベラーを流し込みます。
水を少し混ぜると異常に流動性が上がってちょっと面白いです。
これは本当に打設じゃなくて流し込み。

これ以降は適当に養生しながら、羽子板の位置がずれてないかちょくちょく確認です。
型枠が外せるのはおそらく最低でも1日経ってからですから、やっぱり1,2日に一個ずつしか設置出来ないでしょう。
急ぐときは沓石買った方が良いかも。

 

型枠を外して仕上げ

次の日の3月25日、様子を見てみたところ結構固まっているように見えました。
型枠外すときにも少し振動を与えてしまうので柔いときに外すと形が崩れてしまいそうですが、このくらいなら大丈夫そうかな。

というわけで、外せるビスは外していきます。
周辺には土があってインパクトドライバーを使いにくかったりしますが、理論上は上に引っ張るだけで抜けるはずなので、とりあえず緩くして衝撃与えればスポッといけるはずです。いけました。

ほほぅ、これは…!

まず接地面を見てみましょう。
ちゃんと捨てコンと沓石が接着しているようです。
ここはOK。

上端を見てみましょう。
天端レベラーと普通のコンクリとの境がはっきり見えて、もしかしたらこの部分がスポンと取れるのかもと思いましたが、今のところちゃんと接着していますし、上端もなかなか綺麗。

下部を見てみましょう。
…見たくないけど少し空気が入ってジャンカになっているようですね。
うむむ、型枠沿いはやっぱり空気集まりやすいし棒で押しにくいからこうなったのでしょうかね。
実際このくらいだとちゃんと施工したものよりも何%くらい強度落ちてんのでしょうか。
ま、いっか!

捨てコンと沓石はちゃんと接着しているものの、さらなるずれ防止のために沓石側面に捨てコンを追加しておきました。
これだけやってから埋めれば、沓石が転んだり浮いたりすることはないでしょう。

とりあえず沓石製作&設置手順が決まりました。
どんどんやっていくんだドン!


3月25日、2個目設置


3月27日、2個目完了。
やっぱり最下部がちょっと微妙だけどそこ以外は綺麗かな?
この後3個目設置


3月28日、3個目完了です。
これで北面下屋の基礎完成!

 

まとめ

今回は、市販の羽子板付き沓石に似たものを、自分でコンクリートを練って自作してみました。

使用した工法は、『型枠工法』です。

コンクリ材料を全てホムセンで購入するなら、搬入手間も市販の沓石買うのと同じくらいです。
ただし練ったりするのは苦労しますし、綺麗に打設出来るとは限らないので、自作はそこらへんの苦労があります。
コンクリの単価(ホムセン購入)を計算してみたところ、高くても15円/kgくらい。
30㎏使ったとしたらコンクリ原価は450円、羽子板2枚+抜け防止の座金2枚は200円ほど、つまるところ今回作った沓石の材料費は約650円/個のようですね。

 

今回の体験で分かったメリットは、

  • サイズ・強度の割に安く出来る。
  • 型枠を使いまわせば型枠代も少なく出来る。
  • 羽子板を2枚にするなど、自由に改良できる。
  • 捨てコンや砕石の上にモルタルを敷く必要が無い。
  • 上端は天端レベラーを流すだけで水平に出来る。

 

対してデメリットは、

  • 時間がかかる。
  • 打設時の気泡抜きを上手くやらないと、強度が下がる。

という感じでしょうか。

沓石の自作はコンクリート練りの経験が少ないと、そこそこコツが必要です。
もし同じようなことをやってみたい人がいるなら、この記事を参考にしてみてね!

 

北面下屋づくりは以下の記事に続きます↓

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