小屋のDIY日誌 水糸で基礎位置の決定、結び方、コンパスで方位の測り方

2016年11月27日6畳小屋

小屋の建築のため、基礎工事の準備作業を行っています。

前回では遣り方・水盛りによって、凸凹の大地に水平面を作りました。

今回はそれを利用して、「水糸」を張り、ミリ単位で基礎石の位置を決めていきます。

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方位を考えて、基準線を張る

2016年10月20日、水糸張りの作業を行いました。
必要なものは、ビスと、100円程度でどこにでも売っている水糸です。
道具はインパクトドライバー、メジャー、コンパスです。

遣り方(貫板)と水糸の結び方

まずは基準点として、貫板にビスを一つ打って水糸をかけます。
水糸の結び方は、かけ直しが楽で、輪の大きさが変わらない「もやい結び」が良いでしょう。

 

ちょっと細かいこと↓

写真ではビスを貫板の側面に打ちましたが、こうすると水糸が貫板上端に引っ掛かって、数ミリほど平面上の位置が変わることがありました。
平面位置を重視するなら貫板天端にビスを打ったほうが良いでしょう。
水平面(高さ)重視なら側面で。

 

水糸をピンと張りたい場合、以下の2つの方法が考えられます。

  1. 「もやい結び」と「張り綱結び」を併用する。
    ただし、かけ直した時にテンションが変わる可能性がある。
  2. 端を「もやい結び」と「もやい結び」にする。
    ピンと張れるような場所に、後でビスや釘を打ってから、水糸をかける。
    何度も結び直す恐れもあるが、かけ直してもテンションはほとんど変わらない。

水糸の固定点の種類で、どうするかを決定したほうが良いでしょー(´・ω・`)ノ

 

コンパスと地磁気で、正確な方位を測る

基準点を決めたら、次は基準線を決めます。
以降の作業で、この基準線を変えることはありません。
方位や位置をどうするか、よくよく考える必要があります。

 

自分の場合、位置は適当としましたが、小屋が正確に東西南北を向くように地磁気とコンパスで方位を決定しました。
基準線は南北方向としたので、正確な南北の方位を測らなければなりません。

コンパスを使えば方位が完璧に分かる、わけではありません。
コンパスが指し示す「磁南」と、太陽の南中方向である「真南」は違います。
地球の北極点と北磁軸極の場所は異なっており、北磁軸極は現在グリーンランドの北辺りにあるようです。
(参考:地図とコンパスの使い方
日本の場合、磁北は真北から西に5~10°ずれています。これは「西偏〇°」という言葉で表されます。

ゆえにコンパスを正確に使う場合、地磁気を考慮し、ズレを修正せねばなりません。
そのため、高価なコンパスではズレを修正するために磁針部分を回す機能がついていたりします。
地図と併用する場合は、予め地図にずれを表す「磁北線」を書いてから使用することもあります。

日本の、各地点ごとの西偏を知りたいときは、国土地理院の「地磁気を知る」などで調べられます。
調べると、私の地域の西偏は約7°であることがわかりました。

なので内側コンパスの輪を7°西側に回し、コンパスの北針と内側の輪の北が一致するようにコンパス全体を回します。
そうすると、コンパス外側の赤い矢印が真北を指すようになります。

水糸がその真北の線を通るような方向の、延長線上にビスを打って引っ掛けます。
これでようやく、真北・真南を表す基準線の完成です。

 

ちなみに今回使っているのは、フィンランド生まれの「スント製コンパス」です。
アウトドアの趣味を持つ人は、最低でも1つは品質の良いコンパスを持つことをおススメしますよ!

 


外周4辺の水糸を張る

基準線と直角・直交になる水糸を張る

  基準線(線①)が出来たら、次はその線に直交する線(線②)を張ります。

直角というものは生活の中では多く使われていますが、フリーハンドで作り出すのは案外難しいものです。
直角は、古典的な『ピタゴラスの定理』を使って出します。
「直角三角形の辺はa^2+b^2=c^2という式が成り立つ」というお馴染みのものですが、一番お手軽なのは3辺の比が3:4:5の直角三角形ですね。
というわけで2つの線を直角にするには、3辺の長さを測って3:4:5になるようにすれば良いわけです。

しかしその測る長さが短すぎると誤差も出やすいため、出来るだけ長くしたほうが誤差を少なくできるでしょう。

私の場合は、以下の手順としました。

  1. 仮の直交線②を張る。
  2. 基準線との交点からそれぞれ線①に150cm、線②に200cmの場所を測って印をつける。
  3. その印の間(斜辺)が250cmになるように、線②の固定点をずらして調整。
    基準線の位置は変えない。

補足

直角の出し方としては、3辺が3:4:5の直角三角形の「大矩(おおがね)」を作る方法もあります。
自分がやった今回の方法はメジャーだけで出来るので、長い材が必要無い、というメリットがあります。

線の目印はマジックで付けました。
印自体の幅が1〜2mmほどありますが、まあそこらへんは妥協で…。

微妙な数字になっているのは、貫板にメジャーの爪を引っ掛けているからです。
線の交点からの距離だとちゃんと200cmになっているのですよ。

孤独な人間にありがちな、メジャーの端を持ってくれる人がいない問題です。
これでは正確な斜辺の長さを測ることができない!

そこで、仮杭を打ってメジャーの爪を引っ掛けて固定することに。
これはなかなかうまく行きました。
ハンマーで3,4回打てばメジャーの爪を引っ掛けてもほとんど動かないので、爪を引っ掛けるポイントと水糸の印の位置を一致するようにすれば正確な斜辺の長さを測れます。

知恵を絞れば人は二人分の仕事ができる?

斜辺の長さを測って線②を移動させてまた斜辺の長さを測って…と繰り返すと理論上の長さと一致してくるのですが、他の2辺の長さを測り直すとなぜか1,2cmほど変わっていることがありました!

なんでやー!と憤りましたが、まあ恐らく水糸を張り直すときにテンションが変わり、印の位置も少し変わったのでしょう。
というわけで、水糸を張り直すときではテンションを一定にしないといけないようです。
簡単な「ふた結び」ではダメかもね…

何度も測り直して、ようやく150:200:250cmぴったりとなる、線①に直交する線②の完成です。

 

残りの線③と線④を張る

次は線③、線④も張っていかなければいけませんが、これらはピタゴラスの定理は使わなくて大丈夫なようです。

私の場合、線①と②の交点が北東端の基礎石の中央となります。(小屋建築範囲の最端じゃないよ!)
その交点から、それぞれ3,740mmと2,840mmを測って印を付けました。

補足

どうして中途半端な大きさにしているのか、と建築経験者なら思うことでしょう。
このときの私は455ピッチを知らなかったのです…。

まずは目算で線②の印を通ってかつ直角っぽくなる、線③を張ります。

線③の必要長さ(交点から3,740mm)も測って印をつけ、線③と線①の印を通る線④を張ります。
線④の長さ(交点から2,840mm)も測って印をつけます。
線③を、線②の印と線④の印が通るように張り直して、4辺の完成です。

これで線の交点が4つ出来るはずです。
しかし再度、全周と、対角線を測り直して、ちゃんと設計どおりの長さになっているか確認した方がいいでしょう。
私の場合、また水糸のテンションとかで調整が間違えたのか、5mmほど誤差が出ました…
妥協しても良いけどやっぱりもう一度測り直し、ようやく誤差1mm以内に収まりました。

写真映えしないから全景写真は撮らなかったよ…(撮っても水糸わかりにくいし)

 

 

始めてみて思いましたが、建築って結構頭を使いますね。
ただの体力仕事だと思ってたので、建築への印象が少しずつ変わってきています。

次回からは脳筋作業の基礎作り!

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