素人が1人でDIYで山小屋を建ててみた感想、得られたものとは?

2017年4月2日6畳小屋

小屋を建てた感想

2016年10月から2017年3月にかけて、全くの素人が居住のために山小屋を建築した感想を全て書いていきます。

たった一人で、何を思いながら黙々と作業していたのか?
自分で設計して材料を調達して小屋を建てたメリットは、デメリットは?
疑問にお答えしていきます。

 

使用資材や技術的反省点に関しては、以下の記事でまとめています。

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技術的な総評

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやはや、まとめ記事を見てもわかるように、反省点オオスギィッッ!!

出来ればもっと廃材などを使って安く抑えたかったのですが、結局砕石以外は全部ホームセンターや通販で購入した資材で作ることになりました。

こんな生活しているのに変なところでビビリなのか、他の小屋セルフビルドみたいに安く抑える工夫というのをあまりしなかったのでなかなかの資材費となりましたね。
6畳+ロフトで、合計約36万円也。

しかしホムセンで調達した綺麗な資材ばかり使った割には、加工や組み立てが下手くそで、継ぎはぎみたいになりました。
そのおかげでお世辞にも綺麗な物が出来上がったとは言えない結果となりましたよ…。

 

正味作業日数は62.5日くらいでした。
もし素人作業員の日当が1万円だとしたら、この小屋の価格は約100万円くらいになるかな?
(プロならもっと早く終わる代わりに、日当は高いし諸経費+消費税でトントンくらい?)

正味作業日数には資材の搬入や買い出しの時間は入れていないので、実際にかかった労力はそれよりも多いです。
夕方5時くらいになって作業が終わったら、次の日以降の作業をどうするかを考えたりネットで調べたりもしていたのでその労力も必要でした。

 

私も色んな小屋暮らしブログを閲覧してきましたが、現場住み込みのニートのくせにここまでトロい作業してるのは自分だけじゃないかと思えています。
というわけで、工期や作業日数的にはあまり参考にならないセルフビルド日誌だったかもしれません。

…だって、晴れてたらゆっくりボーッとしたくなっちゃうじゃない!

 

小屋の基本構造について

小屋の広さと法律

今回建てた小屋は、6畳+3畳ロフトとしていますが、別に法律的にはもっと大きくしても問題無かったです。
小屋を建てた山は「都市計画区域外」だから、床面積100㎡までは建築確認申請必要無し。
(他にも色々条件あるけど)

「小屋は10㎡まで」という俗説は、
「都市計画区域内で増築する場合、10㎡までなら建築確認申請不要」
から広まったのでしょう。
(防火地域だと10㎡未満でも申請必要)

 

でも、制限が無さすぎると素人には設計に困ることになります。

制限がないと「本当にリビングの大きさや調理場の大きさはこれでいいのか、間取りはこれで良いのか…」と、その自由度に悩むことになりますからね。
「とりあえず6畳+ロフト3畳とする!」と最初に決めてしまえばそれに合った間取りにしていけばいいので、それはそれで楽なのですよ。
実際、強度・気密性・断熱性などが必要になるのは居間や寝室くらいだと思われますから、一人暮らしではこのくらいの大きさで十分です。

調理場や風呂にはそこまで気密性などは必要ないから、もっと安い素材などを使って作ってしまえばいいのです。
そのほうが工期的にも予算的にも良いんじゃないか、と自分は考えています。

 

薪ストーブは設置せず

他の人の小屋製作記録では室内に薪ストーブを設置している人が多かったのですが、自分は寒さに強いほうなのでやめておきました。
(道が凍っていなかったら、どんなに寒くてもバイクツーリングに出かけるような人間だし)

実際、小屋内で
「寒い!暖房欲しい!」
と思うのは最も強い寒気がやってきた1週間ほどだけでした。

「寒くてやってられへん!」
と思う時間帯は朝5時くらいの起床直前だけですからね。

薪ストーブ設置による火災リスクやコストの増大やスペースの減少を考えて、設置はやめておきました。

 

ロフトは良いもの?

ロフトで寝たりするのはなかなか面白いですが、ロフト逆側の吹き抜け部分の空間の使い方に少し悩むかもしれません。

今のところ自分はロープをぶら下げて吊りクローゼットにしたり、壁にワイヤーメッシュをかけてかばんなどをぶら下げるなどして収納に使用しています。
でも、100%空間を使用できているとは言い難いです。

風の強い場所などでは、ロフトは作らずに小屋の高さを抑えるほうが大事なんじゃないかなあ。
また、市販のロフトベッドを設置するという選択も十分アリなんじゃないかな。

 

ツーバイフォー工法について

大変素晴らしいです。

建築素人が木材で家を作るなら、ベストな工法です。
セルフビルドとツーバイフォーに関しては、「宗田光一随想録」さんがお詳しいです。

丸太で作るなら軸組工法でしょう。
丸太仕口と込み栓打ちで作る家こそが、木造建築の真骨頂だと思います。

 


必要な道具や材料の種類が少ない

ツーバイフォー工法では、板なのか角材なのかよくわからないような材と合板などの面材料を使い、ビスや釘以外の金物はほとんど使わずに建てることが出来ます。

現代日本の木造建築で主流の「在来軸組工法」では、いろんな寸法の角材や色んな金物を使用しなければなりません。
それらの使い方を学ばないといけないし、道具も多く必要です。
ツーバイフォー工法なら使用する道具や資材の種類が少なくても大丈夫だし、素人には厄介な「ほぞ組」も必要ありません。

合板をサクッと切断できる「丸ノコ」とビス打ちするための「インパクトドライバー」があれば、構造躯体は簡単に出来上がります。
もちろん、「ノコギリ」と「金槌」だけでも作れなくはないです。

 

1人建築にはベストな工法

軸組工法では太くて長い材を多く使うことになりますが、1人でのセルフビルドではそれらを組立てるのは大変難儀するものです。

柱を立てて仮固定している間に、脚立などを駆使して桁を持ち上げて柱と仮接合。
太い梁も一人で持ち上げ、その両端を柱や桁と接合…
大変です。

ツーバイフォー工法なら重いものでも2×6の12fだったり12mm厚合板だったりだから、桁や梁よりも遥かに持ち上げやすいです。
一番重くても、15kg程度じゃないかな?
小さな部材を組み合わせて積み木のように下から作っていけるツーバイフォー工法は、1人だったり非力だったりしても組み立てていくことが出来ます。

なお、「軸組工法なら屋根をすぐに作ることが出来るから雨仕舞いがしやすい」という意見はあります。
しかしツーバイフォー工法でも、壁枠だけ作って立てて、頭繋と仮筋交いを付けていけば、平屋なら壁に合板を張る前に屋根作業に取り掛かれるでしょう。
平屋なら、在来軸組工法もツーバイフォー工法も、雨養生の難易度はほぼ変わりません。

 

ツーバイフォー工法を誤解している人が多すぎ

建築中、ツーバイフォー工法について学ぶために色んなサイトを巡りましたが、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)を誤解している人が多過ぎです。
建築士ですら誤解している人がいましたよ。

ツーバイフォー工法とは「枠組壁工法」の俗称であり、枠材に合板などの面材料を貼って箱を作っていく工法です。

「ツーバイフォー工法はSPFを使うから駄目だ」
違います。SPFを使わなくても出来ます。
間柱と合板で建てるようなものだから、国産のスギ・ヒノキでも作れます。

「ツーバイフォー工法は乾燥した欧米だから出来ることだ。日本の気候に合わない」
欧米、と言っても一体どれだけ多くの気候帯があるか知ってる?
フロリダのような高温多湿な場所でもツーバイフォー工法が基本だよ?

「合板を全面に貼ってるから通気性が無く、木材が腐る」
現代の軸組工法でも、気密性高めているから通気性はあまりありません。
ちゃんとしたツーバイフォー工法で建てられた家が軸組工法より腐りやすいなんて、統計も今のところありません。
木造の家屋が腐るのは大抵「水回り」からであり、それは在来軸組工法でも全く同じ。
大正時代に建てられた日本初のツーバイフォーの家は、たまに外壁補修したりしているだけで立派に健在している。

 

素人がセルフビルドした感想

6畳+ロフトという小さな小屋であっても、建築するためには色々な技術や考えが多く必要で、初めて建築という作業を行う人間にとっては何かと苦労するものでした。

 

素人なら、小屋のキットを買うのも良い

小屋のセルフビルドというものは、「セルフビルドをしたい、技術を学びたい」という人ならやってみても金銭以外の損は無いです。
しかし、「別に建築とか興味ないよ」って人は、キットハウスを購入したほうが総合的に見て得かもしれません。

もちろんキットハウスよりも自分で材料を買って加工したりしたほうが費用的には安くなります。
でも、加工精度が落ちたり、設計ミスで無駄になるリスクもあります。
イチから設計したりするのも時間が多くかかるし、道具を揃えたり使い方を学ぶのも一苦労です。
だから、キットでさっさと作って、空いた時間別の作業やバイトしたほうがコスパ良い、という考えも出来ると思います。

まあ私は「セルフビルドをしたい、技術を学びたい」と考えているタイプの人間でした。
自分で設計して加工して組み立てていくセルフビルドを選択したことに、後悔はありません。

 

セルフビルドで得られるもの、それは技術と自信

実際、6畳という小さな建築物でも、知識や技術ゼロから作るとDIY技術レベルが格段に上がります。
ツーバイフォー工法と言えどもその経験は軸組工法などの別の建築技術などにも応用が効くので、「重機無しで作れるものなら何でも作れそうだ」という自信も付きます。

6畳小屋くらいの大きさのものなら、最初からガチガチに設計する必要はあまりありません。
(勿論上手い設計ができるに越したことはないが)
その場その場で考えながら作っても、そこそこのものは出来るかと思います。

初めてのセルフビルドがもっと大きい家なら、経験不足から色々失敗して後悔しまくることもあるでしょう。
でも、小屋のような小さなものなら、多少失敗してもダメージも少ない、はずです。
大きな家を将来的にセルフビルドで作りたい人は、まず同じような構造・構法で小屋を作ってから作ったほうが失敗を少なく出来ると思います。

 

小さなものでも大きなものでも、基本的な構造や作り方はほとんど一緒です。
施工性が若干変わるだけです。
6畳の小屋を建てられた人は、60畳の家だって作れます。
別の工法で建築したり、中古住宅を補修したりも可能!
業者に頼ることも少なくなるから金の節約にもなります。

また、この建築技術を活かして、他人の家の補修などを手伝ったりするなどの交流の伝手にもなっていくでしょう。

小屋のセルフビルドをした経験と技術は、今後の人生で必ず役に立ってきます。

 

主に参考にした書籍・ウェブサイト

 

DIY 日曜大工で家をつくる(http://diy-ie.com/index.html)
地球生活NEO(http://neoearthlife.com/)
たるかりブログ(http://tarkarian.com/)
からあげ隊長の日記(http://karaage.info/)

(ツーバイフォーの参考書、一冊くらい買っておけばよかったかな…)

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