『感想』里山資本主義: 日本経済は「安心の原理」で動く
著 者 藻谷浩介
出版社 角川書店
出版年 2013年
308ページ
内容
ベストセラー『デフレの正体』著者とNHK取材班が日本の解決策を示す!!
感想
2014年新書大賞受賞、ということで森林業界にいた自分も書名だけは知っていたのですが、中古本屋で偶然見つけてようやく読んでみることにしました。
全部読んでみた感想としては、
「ああ、う~ん…、いや、まあ、ああ、う~~~ん!」
というくらい超絶びみょ~な内容でした。
私の気持ち、これで分かっていただけるだろうか…
この本の内容は、3つに分かれていると思います。
- 真庭、オーストリアの事例を代表とした、木材の利用方法について
- 地方で回す経済、繋がり
- 現代日本経済のマクロ的分析
(自称)林業家の私としては真庭とオーストリアの事例にはかなり興味を抱くことが出来ましたし、これらの事例や分野については将来性が持ててワクワクします。
製材所から出てくる木屑で火力発電を行おうと考え、1997年に銀行を説得して融資させた中島さんは凄い人だと思いますよ。
思いつくだけなら誰でも出来ますが、10億円のリスクを背負って建設し、年間4億円の得を生み出したその先見性!大変すばらしい!
オーストリアでの考え方として「森林成長量の100%ギリギリまで利用する」というのがあります。
これこそが「資本」である土地や森林から得られる価値・利潤を最大限享受しようする、里山「資本」主義なんだ!
…と序盤で気づけたと思ったのですが、この本の主題はそうではないようです。
恐らく上記のような森林を資本とみなしたことから、今まで利用されてなかった・価値に気づいてなかったものを「資本」とみなすように解釈を拡大させていった言葉こそが、この本での「里山資本主義」だったと思います。
ですので「里山」という言葉にイメージを抱きながら読み進めていってしまうと、この本中盤のジャムづくりや家庭菜園の野菜利用の事例に強い違和感を覚えてしまいます。
「里山」という言葉はウケは良いでしょうが、現物の里山の利用をしてみたいと思っている自分としてはちょっと誤解を与える言葉だと思うので、
もうちょい良いタイトル無かったのか…
と思ったのが正直なところです。
地域のつながりとか手間返しだって、別にそれは人がいるところならどこでも出来るもんじゃないの?
使われてない土地や資源を使うならまだしも、人の繋がり⇒里山、というわけではないと思うなあ。
この「里山」という言葉への違和感、以下の本を読んだときにも感じたな…
最終総括として藻谷さんの日本経済のマクロ的分析が載っていますが、この本に載っているミクロ的事例とはちぐはぐな印象を受けました。
私は経済の専門家でもないしそんなに興味も無いから深く考えて反論は出来ないのですが、「日本ダメダメ」と言う人がいる理由は「下がり続ける実質賃金と上がり続ける社会保険料と税金」のせいなのでは?と勝手に推測してみる。
現代の社会保険制度は人口増加期に作られたものなので人口減少期に入るとすぐに破綻しそうですが、里山資本主義が自給自足を叶えて保険料支払いを少なくさせることが出来れば良いですね(適当)
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