『感想』成功する里山ビジネス―ダウンシフトという選択

実用書・一般書

著 者 神山典士
出版社 角川新書
出版日 2017年7月10日
256頁

 

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内容

地方創生の課題と未来。新しい時代の生き方と働き方がここにある!

明治維新期の人口約3000万人から2006年のピーク時に1億2800万人へ(約4倍)。
そして今度は次の100年で人口約4000万人(約3分の1)へと、物凄い上り坂と下り坂を経験している日本人。
人口1億人以上の大国でこんな上りと下りを経験するのは、人類史上現代に生きる日本人だけなのだそうです。
つまりこの人口減少が続く「下山の時代」の生き方には、まだ正解がない。ロールモデルがない。そういう時代を私たちは暗中模索で生きています。

本書は、そういう時代を「見える化」し、各地でこの時代に相応しい生き方働き方考え方をしている人たちを詳細に取材しています。
例;「地域資源を経済化する~長野県小布施町と葛飾北斎と一人出版社」「課題あるところにビジネスが生れる~課題先進国の文化戦略・平田オリザの下山的生き方」「移住という選択~移住者が新しい価値を創出する新潟県岩室温泉」
「みみずの視点の町おこし~地中を深く堀りおこすみみず。複業、継業。仕事を掛け持ち、継ぎ、おこす」「懐かしい未来を先取りした町~瀬戸内国際芸術祭と小豆島」「積極的下層市民の誕生~経済よりも子育て、生き甲斐、誇りを優先する人々」「辺境からの革命~島根県隠岐郡海士町に集まる人材、若さ、エネルギー」
時代の変化とともに独自のスタイルで歩み始めた人々の、暮らし、仕事、想い。次の時代の生き方がここにはあります。

(角川新書より引用)

 

感想

『里山』と『ビジネス』というキーワードに惹かれて購入。

序論に書いてありましたが、国内総人口の山を越えて下りになっていく現代では、一昔前とは全く違う常識の中で生きていかなくてはならない、というのが印象的でした。
この本を読むまでは何となく「少子高齢化が進んで、高齢者が目立ってきそうだなあ~」としか思ってなかったのですが、人口急増社会と急減社会の差というのは意識してませんでしたよ。
この気づきを得ただけでも読んで儲けもんかな。

さて本文ですが、序論に書いてあったように人口の山を下山していく社会に適応した、田舎のほうでの新しいビジネスを紹介している、ようです。
…「ようです」というのは、本文があまり序論や本のタイトルに合致しているように思えなかったのです
いや確かに面白い取り組みは色々あるようですが、「下山の社会ならではか?」「里山か?」と感じたこと多数です。
全文読んだ私から思えば、「地域全体を巻き込んだ、地方で行われた新たな取り組み」みたいなタイトルが正しいような…
別作者の『里山ビジネス』という本を読んでいることが前提なのか?

紹介された中で個人的に面白いと思ったのは、島根県隠岐諸島の島前高校で行われている『高校魅力化』でしょうか。
『島留学』ということで他の高校から生徒を呼んでみたり、地域資源を活用して課題解決に挑戦してみたり。
私はふっつうの進学校(という名の低偏差値高)を卒業しましたから、こういう個性的な高校には少し惹かれます。
おじさんだって島留学したい!

 

機械や設備に投資してローコストで大量生産するというビジネスは、作れば作るほど売れていた人口急増社会の考えでしょう。
しかしそのような設備は人口急減社会では世の中の変化によってすぐに負債になってしまう可能性があります。
これからも大事なのは、やはり柔軟に対応できるソフトなビジネスなのかもしれません。
すでにあるもの、昔のものなどを再利用したりすると、ハード的な投資を抑えながら、新しいビジネスを起こせるかもしれません。

 

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