えせ田舎暮らし
島田伸介の大阪府能勢町での田舎暮らしについて
この本は1997年に芸人である島田紳助さんによって書かれた本で、テレビの司会業などで才能を発揮していた彼は昔から「田舎暮らし」を行いたいという夢を持っていたようです。
この本は、紳助さんの田舎への想いと購入した土地のこと、そこでの出来事が載っています。
飽き性の多い芸能人には珍しく、紳助さんは約10年も理想の土地を探し続けたようです。
そして結局、大阪府の北側に位置する能勢町の土地7,200坪を買い、合計数億円もの大金を費やして家やグラウンドを作ることになります。
しかしこんな大規模な開発を個人で成し遂げるのは、いくら金持ちでもなかなか出来ません。
金だけあっても簡単な設計図や条件が無いと施工なんて出来ません。
紳助さんは日々の仕事でクタクタになりながらも、寝る前などに理想の田舎暮らしの設計をしていたようです。
そこらへんが紳助さんの、田舎暮らしに対する本気度合いがわかるところなのでしょうかね。
基本的に能勢町に作り上げた場所は、大勢の友達と遊べる、ということをコンセプトにしているようです。
狭い都会ではバーベキューなんて出来ませんし、騒がしかったらすぐにクレームがつきます。
しかし広大な田舎ではそのような心配の必要はありません。
思う存分みんなと遊んで、自分たちで作り上げた美味しい野菜を食べる、そんな生活を紳助さんは望んでいたようです。
田舎暮らしを始めてからの出来事の内容も多く載っていますが、よく知られている芸能人の名前も多く出ています。
例えば、間寛平、飯島愛、円広志など。(他は関西の芸人が多い)
また、家族だけの内容ももちろん多く、イタチに襲われた鶏の事件では親よりも子供のほうがしっかりしていたりするなどのことが印象的です。
最後には紳助さんの次女が書いた、能勢町での田舎暮らしに関する作文が載っています。
紳助さんは監修していないということのようですが、かなりしっかりとした内容で、その土地での暮らしぶりがわかりやすく書き残されています。
父親よりも文才があるのではないかと思うほどですよ。
この本には長年の夢を叶えた紳助さんの、田舎への賛美が載っています。
この能勢町の土地を大金払って開発したことについての後悔なんかは、ほとんど載っていません。
しかしだからこそ、能勢町の家に住んでいたのは約10年間だけで、2011年に芸能界を引退し、5000万円で能勢町の家を売りにだすという結果には、いささかの無常を感じざるを得ません。
この本が出版された1997年頃に読んでいたら、スタンダードな田舎暮らしのエッセイとして読むことが出来たでしょう。
しかし紳助さんと能勢町の家のその後を知っている今に読むと、別の見方や感じ方が出来るかもしれません。
本の目次
はじめに 「えせ田舎暮らしへようこそ」
序章 なぜ、ぼくは田舎を求めたのか
夢の入り口
山ごと買うてもうた
田舎はぼくに教えてくれる
暖炉を見つめていた日
ぼくのヒヨコがやってきた
さよならグーフィー
春はブレザーに乗って
オオクワガタ伝説
友達と、田舎遊び
野菜づくりの極意
スズメバチの来襲
松茸山は迷彩服で
事件・鹿の交通事故
やっぱり、田舎は楽しい
父の田舎暮らし 長谷川ゆか
おしまいに 「それでもぼくは言う、えせ田舎暮らしへようこそ」
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