原木栽培品クリタケの発生!食べてみた感想と商品として思うこと
2017年の春にコナラに植菌して、原木栽培していた「クリタケ」
仮伏せの失敗?で害菌にやられまくっていましたが、
2019年の11月に発生しました。
今回の記事では、発生の様子と商品としての評価を書いていきます。
クリタケの発生
一番最初に発生が確認できたのは、2019年11月5日。
厳しい残暑がようやく終わって、最高気温20℃以下、最低気温10℃以下になってきた時期です。
斜面に階段状に埋めて本伏せしたものから発生が始まりました。
雨で少しずつ露出して、そこからカワラタケなどの害菌が発生していたり。
「やっぱり、仮伏せで害菌にやられたのかな~…」
と思ってましたが、発生してくれました!
教科書通り原木から直接生えるのではなく、周辺の土から生えてます。
1本1本生えるのではなく、菌床ブナシメジみたいに群がってます。
ただ、全てのほだ木から発生したのではなく、一部からだけしか生えてきませんでした。
その1週間後くらいにはごくわずかですが、枕伏せした大径木の、土に接触したほうからも発生しました。
明らかに害菌にやられまくっていたほだ木ですが、クリタケ菌糸はまだ何とか生きていたものがあったようです。
しかし発生量を考えれば、『失敗』の範疇に入るのは否定できません。
新たな発生が見られなくなったのは、11月末頃。
また後ほど記事を書きますが、シイタケに比べるとかなり短い発生期間です。
栽培品と言えど、クリタケは保存加工しないと旬の時期(11月前後)しか味わえない貴重なキノコのように思えます。
クリタケ菌はシイタケなどよりも腐朽速度が遅いので、まだまだこの時期はほだ木として熟してなかったかもしれません。
というわけで結局初シーズンのクリタケの発生量は少なかったので、全て自家消費に回しました。
クリタケを収穫して食べてみた
クリタケは土に生えるので、軸の根元を持って慎重に収穫。
クリタケの軸はイタドリのように空洞になっています。
変な持ち方をするとすぐに千切れてしまい、綺麗な物が採れません。
シイタケなどと違って石突にも土が多く付着するので、収穫直後にまな板には載せられませんね。
手で石突をちぎって、軽く拭いたりしてゴミを取ります。
栽培の教科書にはクリタケの食べ方として汁物が載ってあったので、作ってみることに。
で、感想としては、
おお!食べたことの無い食感と味!
スーパーに並んでいる他のキノコ類と比べると、食感はサクサクとしています。
軸が空洞になっていることもあって、グニグニした感覚はほぼ無かったですね。
味は爽やかでクセは少なめ。
ただ、そのおかげで菌床栽培ブナシメジなどと競合してしまいそうだとは思います。
食品として総評すると、食べやすくて万人向けなキノコ、と感じました。
色が綺麗だから、季節ものとして入っていると面白くて魅力的だと思います。
ただ、クリタケならではの強力な味とかはなく、入手の手間を考えたら常食するものではないかも。
やはり味の面では、クリタケよりもシイタケに軍配が上がります。
商品としてクリタケを評価すると
クリタケは土に生えるので、収穫時に石突に土が付くし、落ち葉などのゴミが傘や軸に付着しやすいです。
また、土には多くの生物が生息しているので、土に近いクリタケは害虫などの被害にもあいやすい。
ナメクジに丸ごと食べられるのは無かったですが、よく傘の裏側に黒い芋虫を見ました。(撮影忘れ)
食害跡とかは無かったですがシイタケよりも頻繁に見られたので、他の害虫も寄ってきやすそうです。
細かなことですが、土に生えるから腰を屈めて収穫しないといけません。
しかも軸が千切れやすいから、かなり慎重に収穫作業をしなければなりません。
本伏せしてしまえばほだ木を動かす労力はありませんが、収穫時期は収量の割に労力がかかりそうな食品です。
クリタケは足が早い(劣化が早い)です。
まだ小さな時は傘の裏側が綺麗な白色なのですが、傘が開いてくるとすぐに裏側も黒くなって見栄えも悪くなってきます。
シイタケでは収穫忘れなくらいになってようやく傘裏側が変色しますから、それに比べるとクリタケは収穫時期を逃しやすいです。
収穫してからもすぐに出荷してしまわないといけません。
収穫~出荷までの時間が短い食品ほど管理手間が多くなり、管理料も増えます。
また、天日干しで乾燥保存させたクリタケを水で戻して食べたこともあります。
結果としては、戻しクリタケは傘は良くても軸が綺麗に戻らず、あまり美味しいものではありませんでした。
急速乾燥、塩漬けなどにすれば加工保存も出来るでしょうが、乾椎茸よりも難しいです。
というわけで、商品としてクリタケを総評すると!
シイタケと比べると、商品にするには難しい食品である。
と、自分は結論付けます。
繁盛している直売所などでシイタケの倍以上の単価で売れたり、地元の旅館などと契約出来たりすれば見込みはあるでしょう。
しかし売るための工夫は必須となるので、実験的に生産しながら模索していくのが基本となるキノコだったと思います。
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