木立のなかに引っ越しました

エッセイ・ドキュメンタリー

那須の別荘地に移住した高木美保さんのエッセイ

女優として有名な高木美保さんですが、多忙が極まったおかげで28歳ごろにパニック障害や鬱のような症状が出始めたようです。
それからは自分の生き方を変えて、その結果栃木県の那須高原の別荘地に移住し、家庭菜園などを楽しんでおられるようです。

文章は、流石女性だからなのか、他の男性のエッセイよりも情景描写が多く、何でもないような生活の中で思うことが主眼におかれています。
基本的に両親との生活であるため、両親に対する思いが多く、孤独さは感じられません。
移住先で出会った人とも仲良くなって、一緒に山菜採りに行ったり温泉に行ったりしておられるようですね。

ただやはり女性だからなのか芸能人だからなのかわかりませんが、全てを自分の手でやってやる!という強い気概までは感じられませんでした。
人に頼るときは頼るし、お金を払うときは払う。
知らない人から野菜をもらったときに、「毒物が混入していたらどうしよう」なんて心配もするのは、まだ都会の感覚が残っているようで違和感を感じたりもしました。

基本的に高木美保さんの生活は、所謂お金持ちの田舎暮らしという感じなのでみすぼらしさは無く、美しく生きるということに比重が置かれているように思います。
イングリッシュガーデニングとか花を見に湿原に行くとか、別荘地の生活らしい感じですね。

 

家庭菜園やかんたんレシピが実用的

この本は那須高原の別荘地における高木美保さんと両親の生活の模様が多く、エッセイらしいと言えばエッセイらしいのですが、実用的な記述は多くありません。

しかし本の後半には有機・無農薬家庭菜園の方法や新鮮な食材を活かしたかんたんレシピがいくつか載っており、田舎暮らしを行おうとしている人にも役立つものとなっていると思われます。

有機家庭菜園では堆肥づくりが少し面倒ですが、これはコンポストなどの中に空気が入るように生ごみを入れていくと良い。
虫が付いてしまった場合は、古くなった牛乳や薄めた酢が有効。
また、プランターなどで家庭菜園を行う場合、使い終わった土は水でよく洗って天日で干すと連作障害や病気を防いで再度利用出来る、とのことです。

土地探しのテクニックなんかも載っています。
高木美保さんは那須の別荘地に住んでいますが、別荘地だと管理費がかかる分、自治会による掃除などの管理をする義務が無いし、周りの人は他所から来た人ばかりなので楽らしいです。

自宅にはソーラー発電と気密性の確保によるエネルギー自給にこだわっており、余剰電力は電力会社に買い取ってもらっているようです。(2000年時点でも)
参考にした本は、『週末・八ヶ岳いなか暮らし』であるらしく、私も感想を書いています。

レシピには、コンニャクづくり、味噌づくり、ゆでもちやいもがらの油いためなどちょっと変わっているけどシンプルで食べやすそうなものが並んでいます。

 

本の目次

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一年の風景

引っ越し
雑木林を散歩する
田舎暮らしにはわけがある
再び一つ屋根の下
温泉めぐり
名人
那須おろし
山菜をとりに行く
トマトの発芽
花だより
野生の花
田舎流ガーデニング
蛍のディナーショー
動物たち
収穫
都会のベランダでも農業はできる!?
お祭り
豊かな人々

田舎暮らしをしたい方のために

土地探しのテクニック
家造りのこだわり
田舎で覚えたかんたんレシピ
田舎暮らしの矛盾

あとがき

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