月10万円で豊かに生きる田舎暮らし

2016年5月26日実用書・一般書

目次

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・田舎暮らしの生活様式

 

・各地の移住ケースの紹介

 

・仕事の探し方と始め方

 

田舎暮らしの生活様式

この本では最初に田舎暮らしにおける生活様式を、移住者の短いコメントを数多く交えながら紹介しています。
その紹介の様子というものが、何とも賛美的な感じがあるというか、田舎暮らしを始めようとしている人たちなどにとってはかなり読んでいて心地が良いです。
自然そのものの美しさや、自分たちの力で物やシステムを作っていく悦び、そのようなことを具体的事例を交えて懇々と説かれると、誰でも本気で田舎で暮らしたくなりますわ。

 

都会から田舎に引っ越す場合、というか人生のどの局面においても重要な問題ですが、田舎での生活費のことについても言及しています。
この本においては、基本的に都会と田舎では同じ能力でも年収100万円くらいの格差はあるようですが、住居費や食費が安くなるので生活費は東京の3分の1くらいにまで抑えられるようです。
まあ、流石にどの人も近所の人から野菜をもらえたりするわけでもなく、ガソリン代とか生活用品代もかかったりするわけですから、生活費が3分の1になるということは個人的にはあまり信用できませんが、やはり住居費などが安くなることでトータルコストが安くなることはほぼ確実のようです。

田舎の不動産についても多く記載があります。
著者が言うには、田舎物件は物件ごとに大きく状況が異なっていたり、買主の人生プランなども絡んだりすることで、相場なんて無いようなものだそうです。
とりあえず気をつけるべきこととしては、その物件の腐食状況、地目、水道の敷設難易度辺りでしょうか。
自分が本当に良いと思えるような物件に中々出会えない、時間が足りないという場合は、とりあえず住みたい地域の賃貸物件に住んでから購入を決めた方が良いようですね。
もっと良い物件や安い物件が出てくるかもしれないし、現地の知人が出来て紹介してくれるかもしれないし。
また、田舎物件は総じて安いのですが、その代わり売ることが難しいそうです。購入する場合はそのことも頭の片隅に入れておくべきなのでしょう。

 

各地の移住ケースの紹介

この本には五つの移住ケースが実名あり紹介されており、どれも移住場所を探したりその方法を考えたりするのに多くの示唆を残してくれるものになっています。

一つ目は、岡山県笠岡諸島に移住した4,50代の例。
笠岡諸島は瀬戸内海に浮かんでおり、早くから空き家利用による移住推進を行っている先進的な場所であり、海の近くで暮らしたい移住希望者の応募が殺到しているようです。
家賃は1万円で、レストランを経営しています。
材料は島のものも多く使用していますが、週に1回は本土に行って食材を仕入れるのでフェリー代がかかります。
そのフェリー代は人だけ乗ると安いので、島外に駐車場を借りてそこに車を置いておくことで費用の節約を行っておられるようです。

二つ目は、三重県の紀伊長島に移住した60代の例。
紀伊半島を旅行中に道に迷い、そこで助けてもらった人に「ここに住みたいから良い物件があったら紹介して」と言って、土地を紹介してもらったそうです。
家はツーバイフォーの平屋を建てて建築費を抑え、家庭菜園で野菜を作り、太陽光発電で中部電力に電気を売ったりしています。

三つ目は、岡山県美作地方に移住した30代の例。
アイターンホームという田舎物件を扱う不動産屋の仲介で、集落の中でも山深い中古農家を購入しています。
夫は田舎に移住する前に手に職をつけるということで木工の塾に通って木工の仕事を始め、妻はパンを焼いて販売する仕事を始めています。

四つ目は、北海道鹿部に移住した60代の例。
大和ハウス工業株式会社は森林住宅地の販売事業を行っているようで、全国にある森林住宅地を持っているようです。
どの場所も完全な過疎地ではなく適度に中心街に近いため、都会生活と田舎生活のいいとこどりが出来るらしいですね。北海道の鹿部は海も山も温泉にも近く、予想していたのとは裏腹に冬はそこまで寒くなかった、というのが移住の決め手のようです。
定年1年前に公務員を辞め、移住してからは釣りや家庭菜園、懸賞付きの作文応募などの趣味に興じておられるようです。

五つ目は、大分県杵築市に移住した60代の例。
この例も大和ハウスの森林住宅地を利用しています。
漁業権を入手して網漁を行ったり、近所の農家のお手伝いをして食料を手に入れたりすることで、毎日の食卓は非常に豪華になるようです。

 

仕事の探し方と始め方

この本は、「田舎では月10万円もあれば普通に暮らしていける」という趣旨のため、費用の説明が多かったのですが、最後にはその10万円を稼ぐ方法についての記載があります。

稼ぐ方法は多様ですが、この本で以下の7つのパターンに分けて説明があります。

A:地元企業へ就職する
B:アイデアとセンスと経験で、起業する
C:ショップやレストラン、ペンションの経営を始める
D:農業を始める
E:漁師になる
F:パート、アルバイトで現場仕事に就く
G:東京の企業を相手に、SOHOビジネスを営む

目次を読めば大体想像がつくので、私個人が気になったところを書いておきましょう。

田舎には都会のように多くの職種の募集がいつでもあるとは限りませんが、医療・福祉系は圧倒的に人材不足となっているようです。
また、他にも不動産鑑定士などのような住宅関係の資格も田舎では起業したり就職したりするのに大変役に立つようです。

田舎には多くの良い素材がありますが、販売が上手い人は少ないです。
ですので、加工や販売のノウハウがある人は重宝されますし、起業も出来ます。

農業を始めたい場合、とりあえず新規就農相談センターに相談してみること。
そこで情報を集めて、就農準備校に通ったり、農場や牧場で実習生になったり、農業法人に就職したりすると良いでしょう。

漁業にも農業同様に、漁業就業者確保育成センターというものがあり、そのようなウェブサイトで情報収集をしていくと良いらしいです。
漁業は農業よりかは情報が少ないので、ちょっと苦労するかも?

最後に、一例ですが全国の移住推進・補助の条例が載っています。
このような条例は年毎に増えていくものなので、ニッポン移住・交流ナビなどのウェブサイトで随時確認していくと良いでしょうね。

 

本の目次

まえがき

第1章 田舎暮らしが楽しい理由

田舎なら、なぜ月10万円で豊かに暮らせるのか?
田舎は”消費の場”ではなく、”生産の場”
田舎の給与、都会の給与はこんなに違う
田舎の3万円は、都会の10万円に匹敵する
野菜や魚は自給自足、またはご近所調達でまかなえる
田舎では財布を忘れて家を出ても困らない
家にいながら月見、花見、雪見ができる
地元の人々が気軽に声をかけ合い、会話が豊富
不便さもまた風流。そう思えば、人生楽しい


第2章 田舎の格安住宅事情

田舎の不動産には相場がなく、自分で値段を決められる
田舎の土地は”買い”か”借り”か
家賃1万円の家を探すのにそれほど苦労しない

第3章 とれたてを味わう食生活

田舎での食生活こそ、スローライフの原点
田舎のひとのように自分で野菜を作る、米を作る
庭をつくろう!園芸ライフは人を夢中にさせる
田舎には生活の知恵がある

第4章 田舎暮らしを実現した人々

CASE1 岡山県笠岡諸島へ移住
CASE2 三重県紀伊長島へ移住
CASE3 岡山県美作地方へ移住
CASE4 北海道鹿部へ移住
CASE5 大分県杵築市へ移住

第5章 田舎で月10万円を稼ぐ方法

田舎だからこそ実現できる、生活費を稼ぐ方法
地元企業へ就職したいなら、役所に相談する
アイデアとセンスと経験で、田舎起業する
田舎起業で実現可能なアイディアビジネス
田舎起業の資金はこうしてつくる!
田舎起業を成功させるための方法
ニューファーマーとして成功するには?
一度はやってみたい漁師としての生き方
月10万円で暮らしやすい市と町と村はここだ!

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