農業を仕事にする!

2016年6月11日実用書・一般書

就農者たちの体験談が豊富

この本は就農者たちの体験談が豊富にあり、それぞれの人が異なる過去や状況を持っており、就農する方法もそれぞれ異なっており、一口に農業と言っても様々な形態があることが示唆されています。

例えば営業トップの人が年収何千万円の地位から年収数百万の農業を始めたり、入社7年でワタミファームの代表取締役になった人がいたり…。
多くの研修生を受け入れる農業法人、サラダボウルの社長への取材もあったりして、下位クラスの個人農家から最上位クラスの農業法人まで、様々な取材記録がこの本にはあります。
これだけ多くの記録があるわけですから、個性あふれる就農希望者でもどれか一つは自分の理想とするような就農形態が見つかるでしょう

各インタビューには就農まで何をやっていたか、具体的な就農手順、基本的な農作物と土地や機械の所有状況、収入、新規就農者に向けたアドバイスなどが書かれています。
やはり誰もかれもが、「農業が好きじゃないとやっていけない」というようなことを言っております
また、やはり新しく農業を始めるためには、販路をどうするかということが重要なようで、とりあえず作って農協に出すというような人はほとんど見受けられません。
スーパーや直売所に卸す、提携している農業法人に全量買い取ってもらう、自宅のガレージセールで売る、ネットで注文を受けて野菜セットの通販を行うなど様々な販路がこの本に書かれています。

農業はまだまだ発展途上、発展の余地がある業界ですから、常に努力と工夫を重ねてやっていくことが必要なのでしょう。

 

具体的な就農手順や資金について

とりあえず、就農希望者向けのポータルサイトである全国新規就農相談センターにアクセスしてみることをこの本ではおススメしています。
このサイトには新規就農制度に関するほぼ全ての情報が集まるようで、農業説明会である「新・農業人フェア」の開催情報、農業体験情報、農業大学校について、農業法人での研修事業や求人情報などが載ってあります。

この本では新規就農の際、未経験からいきなり土地を買ったり借りたりして始めることよりも、とりあえず農業技術と土地や販路を得るための人脈を作るために農業法人に就職したり研修を受けたりすることをおススメしています。
農業法人で働く際の仕事内容や給料の例がいくつか載っていますが、給料は平均15万円前後、休みは週一日が大半など、客観的に見れば都市部で普通に働くよりかは厳しい条件が並んでいます。
住居費や食費は抑えることが出来るので、上記のような条件でも一応貯蓄は出来るようですが。

独立就農に当たっての資金についても書かれています。
新規就農者の自己資金平均は1000万円ほどで、不足分は借入金で賄う人も多いようです。
何千万円ものお金を無利子で借り入れることのできる就農支援金や、地域によっては月額いくらの就農支援制度などがあったりしますので、自己資金が少ないから独立は出来ないとは限らないので、望みを捨てずに工夫していけば大丈夫なのでしょう。

農業はなかなか儲かりにくい職種ですが、アンケート結果で生計が成り立っていると回答した人のデータによると、1年目の農作物売り上げは平均432万円、平均2.6年後に売上1100万円となって生計が成り立つようになったらしいです。
というわけでこれから独立就農する人は、とりあえず売り上げ1100万円を目標とした方が良いようです。

農地の借り方と買い方も書いてありますが、やはり基本は研修地で人脈を広げて紹介してもらうことが一番確実なようです。
なかなか見ず知らずの人には耕作放棄地でも、面倒ごとを避けるために貸したり売ったりするような人はほとんどいないようです。
全国農業会議所が運営する全国農地ナビで売りたい・貸したい農地を検索してみるというのも一つの方法です。
個人的にはなかなか面白くて良くできたサイトだと思いますが、試しに検索してみたらほとんどが「農地に関する意向の表明なし」でしたね…

 

この本は他にも、定年帰農や市民農園、各地のI・J・Uターン相談窓口のことについても書かれています。
農業技術に関する具体的な記述は無いですが、制度のことについて広く浅く知ることが出来ますので、新規就農を目指す人にはおススメの本です。

 

本の目次

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今、農業が輝いている!

新規就農への道(準備編)

まずは農業法人に就職する(ステップ1)


独立就農への道(ステップ2)

定年帰農・就農への道(中高年者編)

アグリビジネスの可能性(ステップ3)

 

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