『感想』まだ東京で消耗してるの?

2017年7月26日エッセイ・ドキュメンタリー

著者 イケダハヤト
出版 幻冬舎
発売日 2016年1月29日
234ページ

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内容

東京はもう終わっている。人が多すぎる東京では仕事で頭角を現すのは難しく、少ない給料のほとんどは住居費などの「東京に住むための経費」に吸い取られる。おまけに子育て環境は酷く、食は貧しい。そんな東京に嫌気が差し、縁もゆかりもない高知県の限界集落に移住した著者は、家賃が8万円から3万円に下がり、収入は約3倍になり、自然豊かな環境で幸せに暮らしている。地方消滅という言葉があるが、人が少なく、ないものだらけだからこそ、地方には確実に儲かるのに未だ手付かずの仕事が無数にあるのだ。「東京」と「地方」の常識が変わる一冊。

幻冬舎より引用)

 

感想

期間工として働いている時の週末、図書館で読まさせていただきました。

ブログ業界ではかなり有名?なイケダハヤトさん(以下、イケハヤさん)の著書。
タイトルがブログと同名であり、イケハヤさんの著書は他にもいくらかありますがこの本が現在の彼の核なのかも?

ブログで多くの文章を書かれておられるからか、構成や言葉遣いはかなり分かりやすいものとなっています。
難しいデータや図は一切無いのでほとんど誰でも読みこなすことが出来るし、一気に読み終えることが出来ます。少なくとも自分は休憩とか一切無しで全部読めました。

 

内容に関しては、タイトルからも想像できるように、東京で住むデメリットと田舎(高知市)で住むメリットが多く書かれています。
一つ一つのことに関しては特に客観的なデータが無いので、まあイケハヤさん個人の考え・感じたこと・仮説ということになりますかね。

東京のデメリットとしては、まずは住居費が高いというのがあるようで。
都心が職場の場合、職場に近い場所に住もうと家賃がものすごく高くなり、家賃を抑えようと郊外に住めば通勤時間が長くなるし満員電車が辛い。

東京には狭い範囲内に数多くの施設があり歩いていける範囲内で色々済む、とも思えるのですが、実際は人口数が多すぎるので施設が満員で入れない場合があったようで。
現在でもよく言われる保育園問題がその最たるもの。
つまるところ、何をするにも人が多すぎるのが東京のデメリット

確か「東京では新しいことをやるにはクリアしなければいけない条件が多すぎる」というような記述もあったと思います。
う~ん、確かにハードの面(小屋づくりなど)に関しては都市計画区域・防火地域とかありますから、都市計画区域外の田舎のほうだと緩いとは思います。
でもITを始めとするソフトづくり、サービス業界ではそんなに関係ないんじゃないかなあ。

「都市の仕事はコミュニケーションのためのコミュニケーションが多すぎる」は田舎でもあるんじゃないか?
都市は大組織どうしの仕事が増えるというだけで、田舎でも大組織どうしのやりとり(例:県庁とゼネコン)になってくると面倒ごとは増えるんじゃないかと。
でも田舎のほうは組織が小さいものどうしのやりとり、関わる人数が少なくなりがちなので、一人一人の社会への効用が大きくなってやりがいが増える?
大組織ではどうしても「俺なんていなくても大丈夫だ。何も成すことが出来ない」という感じになりがちで、病んでしまうのかな?

ちょっと参考になったのは、「やりたくないことリストを作る」ということ。
やりたいことは人生の色んな段階で変わっていくけど、やりたくないことをはそう変わらないという理論のようです。
確かに良い理論だなあと思いましたが、調べてみると初出はおそらく神田昌典さん著作の「非常識な成功法則」かな?

他には田舎の仕事についての記述もあり、細々したものが多くあるので、「一つの職場からのみ収入を得ようとするのではなく、複業すれば良い」らしいです。
確かに田舎にはお年寄りへの薪の販売とか山菜、狩猟などのような季節的な仕事が多いようです。
個人的にはそこらへんの詳しい情報が欲しかったですが…生憎この本では少し触れるだけ。

 

イケハヤさんのように、センセーショナルな文は自分にはなかなか書けないね。
社会的なことを主張する場合はどうしても「ん?それって本当か?」と疑問を持ってしまい、データを示すか、こういうメリットもありますよ程度の軟弱な文にしか自分には出来なさそうで。
この本はかなりポジショントーク的なことが書かれていますが、ポジティブなのは良いことです。悲観論よりも。

 

ここまで感想書いた後でこんなこと書くのもアレだけど、個人的には同じように東京から高知に移住した人の中では、「都会育ちの田舎暮らし」さんのほうが好きだったりします。
田舎は競争相手が少ない、交通量が少ないから距離にしては移動時間がかからないというようなことを分かりやすく書いてくれていますので。

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