原木栽培キノコの収益性と販売について考える
自分の山にはキノコ栽培に適しているコナラが多く生えていますので、それでキノコの原木栽培を行ってみようと考えました。
キノコは好きすぎてしょうがない、というレベルではないので出来の良いものは出荷して収入源の一つに出来たらな~と考えています。
もちろんキノコ料理は苦手では無いし、規格外の立派な物が出来たらステーキにしたりすると大好きになりそうだ。
生産技術に関しては、基本的に以下の本を参考にしようかと思います。
商業的な内容はほとんど載っていませんが、具体的な説明が多くて参考になります。
商業的に良い・自分の山に合った生産方法は、初めてからその都度勉強したり実験したりすることにしましょう。
収益性
原木栽培のキノコ、と一言言っても色々あります。
もっとも有名なのはやはりシイタケですが、上記の本を読めば他にも色々栽培出来そうですね。
おそらくシイタケは多くの人がやっていて、ノウハウが溜まっている人らには敵わなさそうな気がするので、収益性がそんなに良くないなら別のキノコを栽培した方が良いんじゃないかとも考えられます。
というわけで、ひとまず収益性に関する資料を集められるだけ集めて分析することにしましょう。
基本的な統計資料は農林水産省のページからダウンロードできます。
生産の統計と経営の統計があります。
色々な年度のものがありますが、新規参入するのなら新しいもののほうが良いんじゃなかな?
平成20年度からは栽培キノコ経営体の経営収支は廃止となっているので、平成20年度のもののみ閲覧。
シイタケは詳しいけどそれ以外のキノコは菌床栽培のもののみ。
山菜の都道府県ごとの生産量などのデータもありますが、収益性分析にはあまり役立ちませんね…
以下の表は平成20年度のデータを抜き出したものです。
なお椎茸に関してはほだ木の数などによってデータも分かれているので、原木栽培ではほだ木10,000本未満、菌床栽培では菌床5,000個未満のものを載せてあります。
労働 時間 |
粗収益 |
経営費 (千円) |
所得 (千円) |
1時間所得 (円) |
|
原木 生椎茸 |
1,441 | 1,583 | 1,529 | 54 | 38 |
原木 乾椎茸 |
349 | 809 | 815 | Δ6 | Δ17 |
菌床 生椎茸 |
1,324 | 2,383 | 1,547 | 836 | 664 |
菌床 えのき |
7,193 | 30,710 | 24,115 | 6,595 | 1,523 |
菌床 ブナシメジ |
9,895 | 41,348 | 34,476 | 6,872 | 1,538 |
菌床 舞茸 |
9,015 | 42,604 | 36,280 | 6,324 | 1,992 |
菌床 ナメコ |
6,029 | 12,495 | 10,175 | 2,320 | 711 |
原木生椎茸、まさかの時給2桁!乾椎茸に至っては赤字!働くほど赤字!
しかし収支の詳細をよく見ると、原木栽培生シイタケでは経営費の内57%、乾シイタケでは47%が原木費となっています。
原木をタダで入手出来れば生シイタケでは659千円に、乾シイタケでは436千円になりますので、時給はそれぞれ641円、1,069円になりそうです。
ん?ということは原木の自給出来るなら生シイタケよりも乾シイタケのほうが儲かるってこと?
てっきり乾シイタケなんて椎葉村のような流通が不便な場所で作るようなもので、基本的には生シイタケのほうが儲かるかと思っていましたが…
これからの流通業界はどうなるか分かりません。
自動運転やAIによって運送者の負担が減るという要素もあれば、通販使用者の割合が更に増えて荷物が増えることで送料も増えるという要素もあります。(実際値上がりしたし)
乾シイタケは生シイタケよりも流通性に優れ、生シイタケはお手軽さや食感に優れています。
とりあえず今のところは両方作ってみるというのもありなんじゃないでしょうか。
なお、シイタケ以外の原木栽培キノコの相場や収益性はどうか?と思ってネットで販売しているかどうか調べてみましたが、今の自分には山形県の「きのこや」様しか相場に関する情報は見つかりませんでした。
2017年6月時点の価格を参考にさせていただくと、以下のようでした。
※すべて1㎏の価格、生のもの
・椎茸 1,730円
・舞茸 2,160円
・ナメコ 2,160円
・クリタケ 2,160円
・ヒラタケ 1,730円
・ムキタケ 1,730円
1時間所得などの収益性のデータはネットを漁っても見つかりませんでした。
菌床栽培の収益性を見るに、シイタケよりも良さそうであると考えられます。
市場に出るのは少ないシイタケ以外の原木栽培キノコですが、個人事業のフットワークの軽さを活かしてチャレンジしてみようかな?
ついでにシイタケの原木価格について少し調べてみましたが、大体、長さは90cm前後で、ナラ類一本の平均価格は300円くらいのようです。中央値は260円くらい。
原木を売るということも可能ではあるのでしょうが、搬出手間などもありますから、個人でやるならやはりその原木で自分でキノコを栽培したほうが収益性良いでしょうね…。
大規模な広葉樹林業出来る場所・設備があるなら原木売りしても大丈夫なのでしょうが。
通販でも売ってるよ!
規格
JA全農広島に生椎茸の規格が、JA全農に乾椎茸の規格があったのでご紹介しておきます。
農協に出品する場合は基本的に以下のように分別しないといけないのかな?
地域によっては選別機もあるかも?
販売方法
統計データの出荷販売実績をザっと見るに、キノコの出荷先は以下のような感じですね。
・専門農協
・一般農協
・森林組合
・出荷業者・生産者組合
・個人出荷
・直売所
農業素人にとっては農協と直売所はまあ分かります。
でも出荷業者と個人出荷って何だろう?
個人出荷は、例えばネット通販のようなものなのでしょうが、生シイタケではそれだけで総出荷割合が3~4割までにも達しています。
生シイタケ全般の統計なので、大規模生産している菌床栽培会社の出荷が個人出荷に含まれていたり?
う~ん、自分の場合はどうしようかな。
一応近くの農協のHPに載っている、「地域の農作物種類一覧」の中にシイタケが入っていますから、シイタケに関しては農協も十分ありだろうか。
他には近くの直売所・ネット通販などが使えそうです。
ある程度まとまった量を出せるならネットショップを開店するのも良いでしょうが、「個人が気軽に出荷する」というのがポリシーだし、悩む。
個人が気軽に事業を始めて、面倒になったらサッと撤退出来て損失は無し、そんな山村社会になって欲しいんだ。
車で1時間以内のところに農業総研の集荷場もあるのですが、こちらに持ち込むのも良さそうな気がします。
共同運送する直売所みたいなものです。東証マザーズに上場した初の農業ベンチャーです。
2016年5月に上場したときの公募価格は1,050円でしたが、初値は1,870円、2017年6月現在では5000~6000円くらいになっているようです。
応援したいから1口買いたいのに手持ち無くて買えない…つれぇわ。
農協は規格でガチガチになっているところはあまり好きじゃないです。(ただの先入観?)
なんでこんなに多くの種類に分別しないといけないんだろう?
多くても大・中・小の3つまでにしてくれればいいのに。
自分が野菜をスーパーで買う時は、均一性なんて気にしてなかったよ?
また、シイタケ以外の原木栽培のキノコは極力市場に直接出したり、ヤフオクのような場所で販売してみようかと思います。
相場が決まりづらいものは自分で価格を付けにくいし、シイタケよりもニッチなものなのであまり多くの人の目に付かない場所で売ると全く売れない可能性ありますから。
多少送料などがかかったり面倒でも、人目に付く場所で売れば珍しい物好き、キノコマニアが食いついてくれて高値で売れそうです。
まだまだ色々勉強余地ありですね。
販売技術に関する論文みたいなものは無いだろうか。
多くの統計データは各企業が独自に集めていて、個人では手が届かない…。
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。
私もきのこ栽培に興味を持っています。
原木よりも菌床の方です。
とはいえ、最近調べ始めたところなのですが…
現代農業2017年12月号にマイタケの廃菌床(1つ70円)でも
森に放置しておいたら、結構生えてくるという記事がありました。
ヒキニートの私でも買えそうだなと思いましたwww
マイタケは雑菌に弱いので原木栽培するときは加熱殺菌して無菌室みたいなところ育てるらしいですが、菌床なら簡単そうなんですね。
現代農業購読しようかなあ…