道づくりの前に―縦断勾配測量をDIYでやってみよう
丸太組擁壁を作ったことでクローラ式運搬車が小屋~公道を行き来できるようになりましたが、擁壁の部分はかなり傾斜がきついのでいくらか緩やかにしたいのです。
しかし今のままではどれくらい土を盛っていけば良いのかという目安がありません。
というわけで今回は、ちゃんと測量して、必要とする土の高さを算出してみようというのが目的です。
今回のような道路などの勾配を測量するのは『縦断測量』と言いますが、水平面を前提とする一般的な地図とは対照的に、地面の凹凸を算出していく測量となりますね。
当初は「縦断測量でも高価な測量器具が必要なのかな」と思っていたのですが、よくよく考えれば高低差はバケツと透明ホースで出来る水盛りで測れるじゃないかということに気づき、測量してみることに思い至りました。
なので今回は高価な道具は一切使用せず、主に用いた道具は、バケツと透明ホースと5mメジャーと杭だけです。
道具がこれだけならDIYで十分出来ますよ!
現地測量(外業)
東方敷地の進入路が完成した次の日の2018年4月15日、小屋~公道進入路の測量を行いました。
まずは現場でのデータ集めです。
縦断測量、上からやるか下からやるか。
…一人での作業なのでメジャーの爪を引っかける場所を作らなければなりませんが、これはやはり杭の上端にかけるのが最も安定しそうです。
斜面上からやると爪が外れやすそうなので、斜面下からやることにしました。
まず始点をどこにするかですが、小屋→公道の道は急~緩~急となっていますから、中間で緩くなり始める場所を始点にしました。
基本的にこの中間の緩い場所に盛土して、傾斜を平均的にしていこうとするのが最終目標です。
始点が決まったら測点杭をあまりぐらつかない程度に打ち込み、メジャーの限界長さである5m近く離れた場所に次の測点杭を打ちます。
このような測点と測点の水平差や高低差を一区間一区間測っていくのが、縦断測量の基本的な方法です。
では水盛りにより高低差を測っていきますが、コツとしては水面が上方の測点杭の下端以上に設定すること、でしょうかね。
杭下端よりも下の水面の高さを測ることは出来ないのですが、杭上端よりも上の水面の高さはメジャーの爪を杭上端に置いて測ればいいので測定することが出来ます。
なので下方の測点杭水面が杭上端よりも離れまくっても良いので、斜面上方の杭の高さに水面を合わせるのです。
水面を適当にセットしたら、その水面からの杭上端もしくは杭下端(地盤高)の高低差をメジャーで測っていきます。
ちゃんと水面と杭のどこの高低差なのかを分かりやすく記録しないと、計算するときに間違ってしまいますよ!
水平距離算出のために必要となる斜距離のデータは、杭上端に爪を引っかけて測定していくことになりますから、杭上端から杭下端までの長さも忘れずに測っていきます。
斜距離測定始点は杭の上端として、終点はまあどこでも良いでしょう。
でもやっぱり終点の位置もちゃんとメモ帳に記録しておくこと、ですね。
測点杭には再測量の時に間違えないように、番号を書いておきます。
上記のような感じでデータを記録しながら測量区間終点へ向かって進行していきます。
基本的に杭間の長さは5m程度としましたが、傾斜がきついところは少し狭めにして3m程度としたり。
その結果、杭の数は端から端までで8本となりました。
結果の計算(内業)
メモ帳に記録したデータを基に、各測点間の地盤の水平差と水平距離を計算していきます。
まず高低差を計算しますが、今回は方法を模索しながらの作業でしたので、水面からの高低差測定箇所が測点毎にてんでバラバラw
めちゃくちゃ複雑なデータになってしまったので、結局一つ一つ図を書いて、どこの距離がどの数字なのかを明確にしていきました。阿呆だね!
高低差が算出出来たら、斜距離の値も使って水平距離を算出します。
これは単純なピタゴラスの定理(a^2+b^2=c^2)で計算出来ます。
関数電卓などで計算するなら『√(a^2+b^2)=』と打ち込めばヨロシ。
各測点の地盤の高低差と水平距離出せたら、最初から最後までを累計して、平均傾斜角を算出です。
傾斜角は関数電卓使うならtan逆関数のarctan(高低差÷水平距離)で算出出来ます。
その平均傾斜角が、修正地盤高を算出するための基本値となります!
一応今回の結果を載せておきましょう↓
水平距離(mm) | 高低差(mm) | 高低角(°) | |
0→1 | 4,652 | +720 | 8.8 |
1→2 | 3,510 | +720 | 11.6 |
2→3 | 4,617 | +950 | 11.6 |
3→4 | 4,790 | +640 | 7.6 |
4→5 | 4,815 | +910 | 10.7 |
5→6 | 3,176 | +950 | 15.9 |
6→7 | 3,295 | +1,285 | 21.3 |
0→7(累計) | 28,855 | +6,175 | 12.1 |
始点から各測点までの累計水平距離と修正後傾斜角と三角関数tanで修正後地盤高を算出し、元の地盤高を差し引くと切土or盛土するべき土の深さを算出出来ます。
…文字だけだと分かりづらいだろうけど、やってみたら分かると思う。別に複雑でも何でもない計算ですし。
まあこれはJWCADでも可能です。
その結果も載せておきましょう。クリックすると拡大します↓
縦断測量の結果、修正後傾斜角は12.1°、盛土の深さは最大で85cm。
丸太組の横木&控え木2段分くらいですが、水平距離が長いのでかなりの量の土と丸太が必要です。
土をどこかに発注するなどで体積を算出する必要がある場合、土の深さを積分していくと算出できます。
積分と言っても基本的に三角形or台形の面積ですから、小学生でも計算可能です。
修正後の地盤と元の地盤の間の面積を計算すると、約14.9㎡(平米)
これに道幅である2.5mをかけると、必要となる土の体積は約37.2㎥(立米)
運搬車1杯で0.2㎥くらいなので、186杯分。
人力で一日5杯作業するとしたら、37.2日かかる計算。
実際は丸太組擁壁としていくので控木や丸太アンカーの分必要とする土の体積量は減りますが、やっぱりかなりの作業量となるので、重機で一気にやるか、整地作業で発生した土を捨てる場所とするなど気長にやるかとなります。
別に急ぎの作業でも無いし金の節約もしたいので、気長にやることにしましょう。
なのでこれからは進入路上への盛土による勾配調整作業は土木の中でもサブ作業として、メインは小屋周辺の整地作業とすることにします。
2018年3月に行っていたような作業と同じようですが、作業の主従が入れ替わったので若干違うのですよ…
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