『感想』小さい林業で稼ぐコツ
著 者 農文協編集局
出版社 農山漁村文化協会
出版日 2017年9月
128頁
内容
「山は儲からない」は思い込み。自分で切れば意外とお金になる。そのためのチェンソーの選び方から、安全な伐倒法、間伐の基本、造材・搬出の技、山の境界を探すコツ、補助金の使い方まで楽しく解説。
(田舎の本屋さんより引用)
感想
出稼ぎ中の休日に図書館で読みました。
最初に結論を言うと、私のような個人事業主の林業家(自伐林業家)志望の人にとっては実用的であり、「とりあえず山を利用したい」と思っている林業未経験の人にとっても指針となる、かなりの良書だったと思います。
色々と面白い記述が多かったので、箇条書き的に書いていきます。
まとまった文章が読みたいなら原本で!
自伐林業家のライフスタイルの紹介あり。
高知県の人は、秋と冬は自伐林業で150万稼ぎ、春と夏は観光業(カヌー)で180万、農業バイトで10万を稼いでいる。
中古の軽トラとチェンソーを補助金で購入し、道づくりなどに使う重機はリースを活用。
作業道造成に補助金が出るので利用。
今は造材の腕を磨いて、A材の割合を増やして出材しようとしている。
自伐林業ではマイペースに作業できて焦らないので、安全性を高くすることが出来る。
常に効率と省力化、ローコストな方法を考える必要があるが、補助金無しでも1人日所得12,000円以上は可能とのこと。
薪事業についても多くの記述あり。
建材として販売するよりも搬出労力が低く、単価も高く出来るので、自伐林業&小規模林業には向いているよう。
乾燥のコツは、並べるのは2列までとし、雨除けは通風性が良くなるように上面シートがけのみとし壁は作らない。
地面からは15cm上げる。
単価はスギの薪で一立米14,000円。
ナラ薪ならもっと高く出来る。
販売先は薪ボイラーを導入した地元の温泉、薪ストーブユーザー、ハウス農家、キャンプ場、木の駅など。
特に温泉では重油などで沸かすよりも薪の方が安く出来るので、地元が一丸となって薪ボイラーの導入&薪の搬入プロジェクトが行える可能性があり、希望が持てる。
なお、木の駅とは主に短材を個人が自由に搬入して簡単に買い取りが出来る場所で、木の駅プロジェクト(http://kinoeki.org/)という全国的な運動から。
いわば林業版の直売所みたいな。
自伐林業家にとっては注目すべき。
きこりのろうそく(スウェディッシュトーチ・スウェーデントーチ)の作り方もあり。
簡単に作れて使いやすい。
大1,500円、小1,000円というなかなか強気な価格で道の駅に販売する人もいる。
乾燥期間が長くなるだろうが斧で割らなくても製品に出来るので、なかなかアリか?
林業をローコストとする方法についての記述も多い。
軽トラで出材できる長さ2mの短材林業というものもあり、集成材や合板用材などとして売ることが出来る。
末口14cmで一本150円、26cmで1,000円ほどだが、しょぼい集材道具だけでやれるよう。
また、間伐材として切り捨てられる針葉樹小径木は、簡易杭製造機(中古で80万)や丸棒加工機を使って加工すれば、土木・造園屋などに売ることが出来る。
動滑車やロープを上手く使えば、重い丸太でも人力で軽トラに積載することが出来る。
具体的な方法は本書で。
昔はよく行われていた馬搬についてだが、現在でも行われているところがある。
馬搬では重機が通れるような作業道を作る必要がなく、場合によってはローコストとなる。
ちなみにヨーロッパでも馬搬は行われいる。観光の一つにも?
枝打ちでは下から5mだけ行い、元玉の4m材に太さを集中させる方法もある。
あまり高くまで枝打ちすると光合成量が減って成長が遅くなるし、強風で倒れやすくなり、作業が大変になる。
他のTIPSとして、
チェンソーの使い方・目立て・伐倒方法の説明もあり。
まあこの辺のことは大体何の林業本でも書かれてあることだが、この本ではカラー写真が多く、分かりやすい。
デプスゲージを削った後、丸みを付けると刃の引っかかりが少なくなるのは知らなかった。
自分で製材して大工に売る方法もある。
製材機は160万ほどで買える。
大源太農園さんの簡易製材機も紹介されてました。
(http://daigenta-noen.jp/KaniSeizaiki2010.10.html)
結論としては、買っても良かったか?と思えた良本です。
私も地元の森林組合とかNPOとかに話を聞きにいってみたりして、自分の山のもっと上手い使い方のヒントでも得られないか調べてみなければと思います。
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