独立型太陽光発電用のバッテリー(鉛蓄電池)の選び方

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求められる能力

どこのサイトにも書かれていると思いますが、太陽光発電用のバッテリーとして求められる能力は「深放電に耐える」「寿命が長い」です。
(この二つは同じだとも言えるが…)

よく目にする通常のカーバッテリー(始動用バッテリー)は、主に大電流を流すことによるエンジンの始動に使用され、エンジンがかかっているときには充電されるのでほぼ常に満充電状態を保っていることが前提となっているものです。
なので深放電には弱く、充電せずに放電ばかり行っているとすぐに極板の劣化であるサルフェーションが起こり、寿命が極端に短くなってしまうのが最大のデメリットです。

同じ鉛蓄電池でも始動用バッテリーの対を成すのがディープサイクルバッテリー(サイクルユースバッテリー)であり、始動用バッテリーよりも大電流を流すことは苦手のようですが、深放電をしてもサルフェーションが起こりにくく、寿命が長い傾向があります。
以上の理由から独立型太陽光発電用では通常、ディープサイクルバッテリーが多用されています。
始動用バッテリーを使用している人は、単に中古のものを安く入手したからというだけでしょう。

 

なぜ寿命が違う?

ではなぜ同じ鉛蓄電池なのに、始動用バッテリーとディープサイクルバッテリーで性能の差があるのでしょうか?

それは主に、電解液と反応する金属板である極板の形質に違いがあるからです。

始動用バッテリーは電解液と金属板の反応が大きくなるように、極板を薄くして表面積を増やしています。

対してディープサイクルバッテリーでは極板を厚くして表面積を減らしています。
表面積を減らせば大電流を流しにくくなるのですが、深放電時のサルフェーションが一気に進むことが少なくなります。
しかしディープサイクルバッテリーと言えども深放電による寿命の低下が無いわけではなく、浅い放電で使うほうが寿命が長くなるのは前回の記事で表した通りです。

 

ディープサイクルバッテリー間の違い

厳密に言うと「ディープサイクルバッテリー」と呼称されるものでも2種類あり、マリン&キャンプ用の「セミディープサイクル(セミサイクルユース)バッテリー」と、フォークリフトなどの電動車や業務用蓄電池として使用される「ディープサイクルバッテリー」に分かれています。

前者の「セミ~」は始動用バッテリーとしてもディープサイクルバッテリーとしても使用できるものですが、両者の中間のような特性を持ちます。
つまり、マリン&キャンプ用のセミディープサイクルバッテリーは、本当のディープサイクルバッテリーよりも寿命が短い傾向があります。

この「セミ~」と「ディープサイクルバッテリー」とではどこに違いがあるか?
全部の型番のバッテリーを調べられたわけではないのですが、「セミ~」の極板は始動用バッテリーよりも厚いペースト(フラットプレート)式極板であり、「ディープサイクルバッテリー」はクラッド(チューブラー・チューブ)式極板で作られているようです。

画像はNISCOより

ペースト(フラットプレート)の極板はよく見かけますが、クラッド(チューブラー)は詳しい人でないと見たことがないものだと思います。
クラッド式はペースト式よりも表面積が小さいようですが、劣化が遅く長寿命となります。

バッテリーのカタログにもたまにこのようなペースト・フラット・クラッド・チューブラーなどの単語が登場します。
なので意味が分かっていればそのバッテリーが大体どのような特性を持つか推測出来ますから、バッテリーに拘る人は是非覚えておくべき単語たちだと思います。

 


多用されているACデルコのバッテリー

独立型太陽光発電の「ディープサイクルバッテリー」としてACデルコのM27mfやM31mfを使用している人が多いです。
私も現在使用しています。

しかしこれらのシリーズは厳密にはディープサイクルバッテリーではなく、セミサイクルユース・セミディープサイクルバッテリーのカテゴリとなります。
ですから本物のディープサイクルバッテリーよりも限界サイクル回数は少ないのです。

蓄電システム.comによると、サイクル回数は以下のようです。

DOD30%:500回
DOD50%:400回
DOD70%:300回

このサイクル回数は、この記事の後半で紹介するディープサイクルバッテリーの限界サイクル回数の約半分~1/3ほどです。

M27mfやM31mfは容量に対してのコストは確かに優れるのでよく使用されているのは分かりますが、限界サイクル回数を考慮したコストパフォーマンスについては手放しで称賛して良いものなのか?
例えばM27mfやM31mfの価格の倍以下で同じ容量なら、本当のディープサイクルバッテリーのほうがサイクル回数も考慮したコストパフォーマンスが良くなりそうです。

 

というわけでネットの大海を漂って、ネットショップで簡単に購入できるディープサイクルバッテリーとその価格を調べることにしました。
私一人で完璧に調べられたわけではないのでまだまだ発掘出来てないものもあるかもしれませんが、とりあえずの結果を以下に記載します。

 

各メーカーのディープサイクルバッテリー

GSユアサ

公式ページのカタログを見ていくと、チューブ型極板と明記or寿命が10年以上あるとされているシリーズは、CS、SLR、V、GCです。
しかしCS、SLR、Vシリーズは業者用のようなもので、家庭用・個人で簡単に買うことが出来なさそうです。
少しネットショッピングサイトで検索してみましたが、ほとんど出ませんでした。

しかしフォークリフトなどに使われるGCシリーズはまだ買いやすいようなので、GSユアサに拘る人は買ってみるのも良いかもです。

 

G&Yu

G&Yuのカタログ(http://www.gandyu.co.jp/pamphlet.php)を片っ端から見ていくと、チューブ型極板と明記or寿命が10年以上あるとされているシリーズは、BPC、GC200、L-EB、Vのようです。
他の方の太陽光発電でよく使われているのはキャンピング&マリン用の「G’CLE」ですが、これはACデルコのM31mfなどと同じのセミサイクルユースバッテリーとなるようです。

フォークリフトのVシリーズは少しネットショッピングでは入手しにくいようですが、他の物はGSユアサに比べると安価に購入しやすく、手に入れやすいものだと思います。

ちなみに通常のEBシリーズはペースト式極板、L-EBはクラッド式極板なので、後者のほうが寿命は長いです。
私が調べた時ではAmazonにはL-EBは売られてませんでしたが、楽天などには売られていました。

 

Trojan

日本ではあまりメジャーではないかもしれませんが、Trojanというメーカーも世界的に有名なもののようです。
寿命を調べると、なかなか良さそうですね。(参考&販売店:https://www.natural-sky.net/products/detail/381)

Trojanの公式サイトを見ていると50%DODで1,200サイクル使えるもの(https://www.trojanbattery.com/products/deep-cycle-flooded/solar_signature-line-flooded/)とか、3,600サイクル使えるもの(https://www.trojanbattery.com/products/deep-cycle-flooded/industrial-line-flooded-2/)もあったりします。
この辺のものがもっと日本に入ってきたら面白いのになあ~と個人的に思いますが。

 

LONG

ナチュラルスカイネットワーク(https://www.natural-sky.net/)に寿命が載ってたので以下に転載します。

○ AGM
50%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約500回
80%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約225回
100%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約200回
スタンバイ使用時(待機充電) : 3~5年

○ sealed / シールド
50%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約750回
80%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約250回
100%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約225回
スタンバイ使用時(待機充電) : 3~5年

○ GEL / ジェル / ゲル
50%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約1000回
80%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約300回
100%の放電後に満充電の繰り返し使用 : 約250回
スタンバイ使用時(待機充電) : 7~10年

他のメーカーではAGMやGELなどの形式による寿命の違いはよく分かりませんでしたが、LONGのバッテリーでは上記のような違いがあるようです。
なのでLONGのバッテリーを買う場合は、どちらかというとGEL式のものをおススメしますね。

LONGのバッテリーはあまり多くのシリーズが日本では売られていないのですが、その名に恥じずどれもセミディープサイクル~ディープサイクルバッテリーレベルの寿命を持つようですから、太陽光発電用のバッテリーとしては何を買っても間違いにはならないでしょう。
比較的安価でコストパフォーマンスに優れますから、かなりおススメのバッテリーです

 

オリエンタル

大トリに紹介しますが、私が今回調べた中では最もコストパフォーマンスに優れた有望株です。
メーカーというより日本ではマイナーな海外の色々なバッテリーを取り扱う販売店なのですが、極板形式を明確にしたりして寿命の長さの根拠をちゃんと説明しているところがGOODですね。

サイクル回数を考慮すればACデルコのM27mfやM31mfよりも単価的に安くすることが出来るバッテリーが、いくつか売られてます。
また、12Vのものだけでなく6Vのものなども販売していますから、大容量・低電圧のものをいくつか買って直列接続すれば、並列回路による循環電流を考慮せずとも大容量蓄電を行えるようになると思います。

 

まとめ

「ディープサイクルバッテリー」と言えども性能には大きく差があり、オフグリッド生活のバッテリーでは容量も大事ですが寿命(限界サイクル回数)もかなり重要となってくる要素です。

ACデルコのマリン&キャンプ用のM27mfやM31mfのコストパフォーマンスは良い方なのですが寿命が少し短いので、実験やキャンプには使うのは良くても、日常生活で使うにはベストだとは言い切れません。

今回は寿命も考慮してコストパフォーマンスに優れたバッテリーを今回調べてみたわけですが、オリエンタルなどで販売されているノーブランドorFIAMMのディープサイクルバッテリー(チューブラ式極板)か、LONG製のGEL式のものが良い、ような気がしました。
もし今私が使っているACデルコのm31mfとm27mfの寿命が来たら、この辺りのものを買ってみようかと思います。

 

太陽光発電の鉛蓄電池において、極板形式毎の実際に使用したレビューというものはまだネット上には上がってなさそうなので、私がやれば良い実験になると思います。
もちろん私以外の誰かが先にレビューしちゃっても…いいのよ?

 

とりあえず今回は色々なバッテリーをカタログなどで調べまくってみましたが、メーカーさんや販売店さんに言いたいことは、定格容量やサイズだけでなくサイクル回数や極板形式の表記もしてほしいっつうことですね。
調べるの面倒くさかった!

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