土地の性質の調べ方とその結果
将来農業的なことがしたいので、とりあえず自分の山の性質について調べてみて、土地に合ったものを育ててみようと考えました。
ちなみに簡単に地図が見たいなら「地理院地図」がおススメです。
地質
閲覧だけなら地質図Navi(産総研)が使いやすいです。
背景図とかを変えると自分の土地見つけやすいですよ。
ちゃちゃっと見た結果、自分の土地は5万分の1地質図で「流紋質角礫岩」でした。
シームレス地質図上でクリックすると凡例が出たりしますが、その説明では「後期白亜紀(K2)の非アルカリ珪長質火山岩類 説明: 約1億年前~6500万年前に噴火した火山の岩石(デイサイト・流紋岩類)」だとか何とか。
ちょっと調べてみると、「角礫岩」とは礫の角が角ばった礫岩。
「流紋質」は流紋岩的ということですが、流紋岩は花崗岩と同じくケイ酸分が多い粘っこいマグマが固まったもので、違いは深度が浅いところで固まったものとのこと。
性質としては固く浸食に耐えて、ケイ酸を多く含むということらしい。
「農業とケイ酸」についてこれまたネットで調べてみたところ、以下の記述を発見。
ケイ素による作物病害の抑制と作用
ケイ素は岩石,土壌中に多量に存在しており,農業場面で多量に施用しても環境に負荷を与えることがない。環境保全型農業においては,病害による被害を経済的許容水準以下に抑制することを目的に,薬剤の使用を抑制し,他の耕種的,生物的,物理的な防除方法を組み合わせた総合的な防除対策が重要とされている。ケイ酸の施用もそれらの中の一つの技術として,イネを始め他の作物においてもいっそう重要視されるであろう。そのためにも,病害抑制効果の認められる病害とその抑制程度を把握し,有効な資材の検索と具体的な施用方法を検討することが必要であろう。また,ケイ素の病害抑制機作を究明することは,学術的に興味深いだけでなく,効果的なケイ素施用による病害抑制技術の開発や普及にもつながるであろう。
「ケイ酸と作物生産」、前川(兵庫県立中央農業技術センター)ら、112、2002
ケイ酸の役割と効果
イ) 合成能力の向上
ロ) 根の酸化力の向上
ハ)病害虫に対する耐性の向上
ニ)耐倒伏性の向上
参考:wikipedia,倉敷市立自然史博物館、土耕菌ナルナルのホームページ
ふむ、ケイ酸が多いっていうのは農業にとっては良いことらしいですね。
とりあえず地質的にはあまり問題無さそうかな?
もっと他のデータ、特に現状の植生などについて調べてみたい場合は今のところブラウザ上での閲覧が出来ない?ようなのでネットにあるフリーのデータをダウンロードしてGISソフト上で見てみようと考えました。
以下、いきなり始まるGIS講座です。
昔ちょっとかじっていたもので…
懐かしいですね~。本当に参考書無しで再始動できるのか!?
GISについて
GISとはGeographic Information System:地理情報システムの略称で、詳細はwikipedia見た方が早いですが、簡単に言えば地図を用いて数値解析したり重ね合わせたりして必要な地図やデータを得ようとするようなシステムです。
ハザードマップとかが分かりやすいかな。
上述の地理院地図もGISとしてはそれなりに使用できるのですが、データを作成したり別の場所からダウンロードしたものを閲覧したり解析したりするのにはブラウザ上では限界がありますので、一般的にGISでは専用のソフトウェアが使用されます。
専門家によく使用されるソフトには「ArcGIS」というものがありまして、これは日本語でも問題なく使用できるしかなり高機能なのですが、ものすごく高価です。(ベースだけでも数十万円)
GISのプロ(国土地理院、国土交通省、航測会社、研究者など)でなく、セミプロやアマチュアならそんなお金を支払うのはきついしそこまでしなくても良いので、そういう人にはフリーのGISソフトをおススメします。
フリーのGISソフトも色々あるのですが、アップデートが多くなされており、他の高性能なGISソフトと連携することでArcGISの機能に近づいている「QuantumGIS」(以下QGIS)をおススメします。
公式サイトでダウンロードできます。
知らない間にものすごくバージョンが進んでいてびっくり。
ダウンロードして展開すると一応ソフトが開けるようになりますが、GISは地図データがあってなんぼのもんですから、まずはデータ集めです。
データ集め
GISのデータ種類にもまあ色々あると思いますが、基本的に点・線・面などで構成される「ベクターデータ」と、格子状に並んだセルで構成される「ラスターデータ」の二つに大別されるでしょう。
ベクターとラスターはGISだけでなく画像解析やデジタル絵などの分野でも使用される概念ですので、ネット上にも説明が多くあります。
それぞれに一長一短があるので、うまく組み合わせる必要があります。
GISの分野ではベクターデータとして「shp」が、ラスターデータとしては「tif」という拡張子が多く使用されますので、「shpファイル配布しています」と書かれてあったら、それはGISのベクターデータ配布しているという意味なのだなと判断しても良いでしょう。
日本国内の基本データは、国土地理院の基盤地図情報で大体揃います。
後述する農研機構のWMSレイヤでも表示できますが、ダウンロードしちゃったほうが通信量かさみませんし、解析も出来ます。
ダウンロードしたデータは同じくダウンロードできる「基盤地図情報ビューア」で閲覧できますが、そのソフト上でshpファイルに変換することも出来ますので、QGIS上での閲覧・解析が出来ます。
5mメッシュ、10mメッシュの標高データもダウンロードすることで地形解析が出来ますが、このデータはラスターデータとして使用した方が分かりやすいしshpファイルそのままだとかなり重いので、変換は後述する別のソフトで行った方が良いかと思います。
基本地図以外のもので役立ちそうなフリーのデータとしては、国土交通省国土情報課にある土壌図・表層地質図・1kmメッシュ気候データ、環境省の生物多様性センターの植生調査データなどが良さそうです。
もっと他にもあるかもしれませんが、農業分野で関係するものはこんなものかな?
ダウンロードしたデータは整理しておきましょう。(出来ればファイル名やディレクトリ名には日本語を使わない方が良いですが…閲覧だけなら可)
他にも土地履歴調査データなんかあります。
都市近郊に家買いたい場合は、昔湿地帯だったりするところは避けたほうが良いかも?と言われているのでこういうので調べておくと面白いです。
ベクターデータの閲覧
このブログでQGISの使い方を教えるには面倒少々余白が狭すぎる…ので「qgis 使い方」でググってみましょう。
メジャーなソフトなので色々出てきますよ。
基本的に、測地系は世界測地系の「WGS 84」か日本測地系の「JGD 2000」となるでしょう。
とりあえず測地系は合わせておかないと綺麗に重なりませんが、自分でデータを作成したりすること無いのならソフト側が勝手に合わせてくれると思います。
測地系に関する説明は「メルカトル図法」とか「正距円筒図法」とかのような用語が出てきますが、地図に興味がある人は調べてみよう!メンドクセーとなること請け合い
shpファイルを表示できたとしても、行政界や等高線が無いと自分の土地がどこにあるか分かりづらいと思います。
そこでウェブサーバー上から随時表示出来る「WMSレイヤ」も使うのも便利です。
データは農研機構にありますし、データの説明も載っています。
市町村界、市町村の名前、等高線(10m)、道路境界くらい表示すると自分の土地を見つけやすいのではないでしょうか。
もちろん上述の基盤地図情報を表示しても良いし、データは大体同じです。
各データを表示して「地物表示」でクリックした場所の値が分かりますが、属性名がアルファベットになって分かりづらい場合は、「readme」を読んだりダウンロードしたサイトの説明を読めばわかると思います。
特に気象データの属性名が一番わかりづらかったので、説明ページを見ながら、編集モードで属性名を日本語に直していきましたよ…。
結果
表層土壌の属性は全域「褐色森林土」。わぁ!普通!
現存植生はほとんどが「コナラ群落」、一部が「アカマツ群落」となっており、実際見た感じと同じです。
ついでに都道府県の統合型GISを見てみると、「地域森林計画対象民有林」・「農業地域(地目は農地ではないですが)」であり、「都市計画区域等」には一切入っておらず。
1kmメッシュ気象データは各月で色々あるので、メッシュ番号を記録してデータベースファイル(dbf)をLibbreOfficeの表計算で開いて、月毎にデータを整理して、グラフを作成してみました。
最深積雪量は「0cm」でした。
2017年に自分の土地で観測したような気がしましたが…
昼間にほとんど溶けるようなものはカウントされないのでしょうか?それとも何十年に一度の雪だったということ?
とりあえず気象データの数字などが分かりましたが、他の地域との比較や作物毎に必要な日照時間などが無いとなかなかこの土地の性質が分からない…
ここらへんは要勉強ですね。
他にも標高データを用いて地形解析をしたりもしてみました。
長くなったので記事を分けておきます。
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