苗木栽培のためにコナラの採種とドングリの植え付けをやってみた―18年秋・19年冬

苗木

針葉樹林を伐採後、広葉樹林にしたい人も少なからずいると思います。

ウチの山で採種がしやすい『コナラの苗木』をひとまず生産して、実験的に市場に出品してみたいと思って、試しにやってみることにしました!

採算性は一切考えず、かなり趣味に近い事業ですw

 

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コナラについて

コナラは薪炭やシイタケ原木として使え、成長の早い落葉広葉樹です。
萌芽力が強く、伐採後の切り株から「ひこばえ」が生えて、また元のコナラ林に戻る性質があり。

時期になると大量のどんぐりを落とし、野生動物たちの餌の供給源にもなっています。
どんぐりは渋が強くてそのままでは人間が食べることは難しく、複雑な処理が必要です。

日本の中では珍しく無い樹種で、沖縄以外の全国どこにでも分布しています。
昔から多くの集落で利用されていた樹種で、日本の原風景を作る樹、とも言えるのではないでしょうか。

 

スギ、ヒノキに比べると造林面積は少ないですが、コナラの苗木も林業用苗木として使われる場合があります。
林業種苗法で規制される樹種では無いので、コナラの苗木の生産と販売に大きな制約はありません。

 

コナラの実生栽培

苗木生産を行う場合、まず行うのは種の採取、もしくは穂木の採取です。

コナラは発芽力が強いので、種から育てる「実生栽培」が基本のようです。

どんぐりを集め、殺虫処理をして、苗床に蒔くという順番となります。

 

種子(ドングリ)集め

2018年10月15日、コツコツ、ガサッ、とコナラがドングリを落とす音がする今日この頃。

古いものより新しいもののほうが良いということで、ドングリ集めのため、早速バケツ片手に森へ入っていきます。

ドングリを食べる動物は色々あるので、採取が遅れると食べられてしまいます。
リスやネズミとの、ゆるふわな競争です。
今の私は森ガール、ならぬ森ミドル(おっさん)、…森みどり?

 

たった一本の、大きなコナラ周辺を巡るだけでかなりの数が集まりました。
しかし全てのコナラが多くのドングリを落としているわけではないようでした。
個体ごとに隔年結果があるのかな?

 


浸水による殺虫処理&選別

コナラのドングリには、ナラシギゾウムシの幼虫が中の実を食べてしまっている場合が多いようです。
そこでそのようなドングリを選別&殺虫処理するため、水に浸けます。

しかし浸水処理だけで完璧に殺虫出来るわけでなく、かつては臭化メチルや二硫化炭素とかが使われていたようです。
しかし今はそれらの薬品は危険物に指定されているため、素人には入手しにくいです。
効率は少々落ちますが、数で勝負ということで、今回は薬品を使わず浸水処理だけ行うこととしました。

水に漬けて浮いたものは蒔いても意味が無いので、捨ててしまいます。

試しに中を割ってみたら、スカスカの粃(しいな)だったり、幼虫が入ってたり。

 

どんぐりの蒔きつけ

コナラの発芽力が強いので蒔きつけ床にそんなに気を使わなくても良いようです。

しかしスギなどに比べると蒔きつけ深さが深くなり、覆土は5cmほど行う必要があります。

今年は手間とお金をかけないようにやってみるということで、かなり適当な蒔きつけ方法としましたw
参考にはならないと思う…

 

蒔きつけ床は2つです。
1つは日が当たってアクセスしやすい山の中に、直接植えてみることに。

つるはしとスコップで堅い土をちょっと耕して、水に漬けたどんぐりを満遍なくばらまきます。
5cmほど覆土して、その上に乾燥防止として周囲の落ち葉をまいておきます。
これだけで1つ完成!

もう1か所は、段ボールの中にしてみました。

山の土を入れて、同じようにドングリ蒔いて覆土して、覆いわらをして。

 

その後の管理

両方とも蒔きつけ後だけ水を撒きましたが、それ以降は天水のみ。
つまり、何の管理もせずに、ほったらかにしておきました。

 

2019年3月頃、ドングリは本当に生きてるのかと疑問に思って少し掘り返してみると、ちゃんと発芽しているようでした。
秋・冬なら、土に埋めてしまえば雨だけで大丈夫なようですね。

 

苗木には裸苗とポット苗があります。
自分はポット苗を作ってみたいと思ってます。
ポット苗は土が付いているので、流通時に枯れにくいという利点がありますので。

今シーズン中に双葉以上になったものをポット等に植え替えようかと思ってましたが、そう言えばこの地域でドングリの芽が出るのは4月中旬頃。
発芽後のものの植え替えは間に合わないか…

ポットに直接どんぐり蒔いても良かったかもですし、時期になったらそこら辺で勝手に発芽したものを植え替えても良かったかな。

 

ひとまず実験的に、蒔きつけ床にあるまま一夏過ごさせてみて、枯れてなければ来シーズンの秋冬にポットへ植え替えてみようかと思います。
今回は最初から最後までずっと適当な栽培方法でしたが、やっぱりもうちょい手間をかけたほうが良いなという実感を得てから、手間をかけていこうかと思います。

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