自作したパーライトモルタルロケットストーブの改善点

DIY

山暮らしを始める前に自作し、山に持ってきたパーライトモルタルロケットストーブですが、ほぼ毎日使い続けているうちにいくらか改善すべき点が見つかってきました。
新たな改良型調理用ロケットストーブ(コンロ)を製作するため、どのように不具合を直していけば良いのかということをまとめることにしました。

 

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前回までのおさらいと感想

自作ロケットストーブというものを初めて知って、自分なりに作ってみた一斗缶2個+パーライト+ステンレス煙突のロケットストーブですが、高温により煙突の接続部であるハゼ折り部分が変形してパーライトが漏れ出てくるようになりました。
溶接型煙突ならばもう少し耐久力があったのでしょうが、高温となるロケットストーブにおいてハゼ折り煙突+パーライトの組み合わせは悪いと思われました。

 

その後パーライトが漏れ出てくることを防ぐため、変形したハゼ折り煙突は再利用して、パーライトにセメントを加えたパーライトモルタル・ロケットストーブを自作しました。
これなら煙突が変形していくらか隙間が出来ても、セメントで固められて粒子が大きくなったパーライトが漏れ出ることは無くなるだろうと考えたのです。

 

 

その結果、本当にパーライトが煙突内部に漏れ出ることは無くなりました。
2017年1月から4月、2017年10月から2018年の4月までの間、ほぼ毎日使用していますが、煙突内部に不具合をきたして燃焼不可となることはありませんでした。
煙突そのものは高温によりかなり変形して隙間が大きく空いていますが、パーライトモルタルで周辺が覆われていますから炎が横から出てくることもありません。

「パーライトモルタルの型枠という機能を果たすだけなら、金属の煙突は必要ないんじゃないか?」と考えることも出来るでしょう。
しかし煙突は型枠としての役目を果たした後に、煙突上部から薪を投入したときの衝撃からパーライトモルタルを保護する役割を持つようになりました。
パーライトモルタルそのものはコンクリートなどよりも脆いものですから、結構簡単に割れてしまいます。
金属板煙突のような保護膜が無ければ衝撃が加えられるたびにひびが入っていき、最後には煙道内部にパーライトモルタルが割れ落ちてしまうことになるのではないかと思われました。

また副産物として、煙突出口(出火口)の周辺の剛性が上がって五徳などが置きやすくなりました。
一斗缶やペール缶に最初から付属していた蓋の中央を円形にカットしたタイプならば、高熱により変形したり重たいダッチオーブンでは耐えられないかもしれません。
ペール缶など外殻の強度が高いのならレンガなどを五徳台にすれば良いでしょうが。

以上から、パーライトモルタル+ハゼ折り煙突を使ったロケットストーブ自体はかなり有用性の高いものであると、私個人としては結論付けます。

 


不具合と改善点

メインの材料自体は悪くなかったと思うのですが、前回製作したものではいくつか不具合が発生してしまうことが分かってきました。

 

まず、型枠として100円均一ショップで売られていたバケツを使用しましたが、これでは割れてしまったパーライトモルタルを保持することが出来ませんでした。
当初は「型枠として使うだけなら燃えてしまうプラスチック製のバケツでも良いだろう」と考えてこの材料を使用しました。
しかし案外パーライトモルタルは割れてしまうものであり、ロケットストーブを使用するにつれてプラスチックが溶け落ち、中からゴロゴロとパーライトモルタルが割れ落ちてきました。
なのでやはりパーライトモルタルと言えども、金属やレンガのような耐熱性と剛性を持つもので覆ったほうが耐久力が上がるのではないかと考えられます。

次に、焚口として使用したT型煙突ですが、こちらは断熱材で覆うことなどはしませんでした。
物を燃やす生活を始めて分かってきたのですが、完全燃焼を起こしたければ出来得る限り燃焼箇所の温度を保持する必要があります。
つまるところ、焚口もちゃんと断熱材で覆って熱を極力逃がさないようにしたほうが燃焼効率が上がるのではないかと推測出来ました。

構造上の問題ですが、完全燃焼を起こしやすいとされるロケットストーブと言えどもやはり燃焼を続けていると灰や炭が溜まってきます。
短時間なら大丈夫なのですが、長時間使用するとだんだん煙道が詰まってきます。
何か棒を突っ込んで撹拌してやればまた空気の通りが良くなって燃焼も安定してくるのですが、やはり横方向煙突の下半分はロストルなどを加えない限り空気が通ることが出来ません。
また、径106mm煙突のみを使用していますが、薪のような棒状の燃料を使うだけならまだしも、立方体に近い角材の端材などはかなり燃やしにくいです。
この点からも、構造的にもう少し焚口付近に空間が欲しいですね。
空間があればそこに灰や炭を溜めていけるし、立方体の塊も空気の通りを悪くせずに燃焼できるのではないかと思います。

 

前回のもので良かった構造上の特徴を記録しておきます。

ネット上でも多く自作されているロケットストーブですが、焚口が上向きのエルボ(曲がり)煙突で作られているものがあります。
ロケットストーブでも灰は多く発生するので、灰の掻き出しがしにくいものでは日常の使用には不便だと私は考えます。
前回作ったものは煙道で最も下にある部分が横方向の空気流入口と同じ高さですので、灰の掻き出しがしやすくて使用前の準備が楽です。
なので新たに作るロケットストーブでも、煙道・焚口の下端には横方向の穴が必要です。

T型煙突を使うことで横からも上からも燃料を投入したり空気が流入することが出来ていますが、これにより一方向からプラスチックなどの空気を詰まらせるようなものを投入しても空気の通りが悪くなってしまうことが少なくなりました。
また、プラスチックが燃焼するときは溶け落ちて燃えていくので、プラスチックは上方向からの投入に向いているのだと思います。
よって、上と横の2方向から燃料の投入と空気の流入が出来るのは便利であると考えます。

燃焼筒(ヒートライザー)部分ですが、調理時ではここからも燃料を投入して高温の発生と燃焼の安定を図っています。
この部分の長さは40cmの薪が投入できるくらいとしていますが、使用する薪の長さに対して長すぎる燃焼筒では完全燃焼が起こっても徐々に熱が下がって煙道出口に置いた鍋やフライパンに十分な熱を与えることが出来なかったでしょう。
私個人の感覚としては、暖房用ならまだしも調理用ロケットストーブならヒートライザー部分の長さは40~50cmで十分です。

 

まとめと製作予定

以上の改善点と変えるべきでない点から、以下のような特徴を持つロケットストーブを製作してみようかと考えています。

  • 燃焼筒はペール缶or一斗缶2個を使用、ただし煙道長さは約40cm
  • 燃焼筒の内部はハゼ折り煙突+パーライトモルタル
  • 焚口は半斗缶、周辺はグラスウール+石膏ボード+漆喰塗り合板
  • 半斗缶横には2個穴を付け、1個は下端の灰掻き出し用、もう一個は燃焼筒煙道と高さを合わせて炭掻き出し用
  • 半斗缶上は開閉可能、鉄板を置いて輻射熱調理が可能

また製作記録と反省の記事を書ければ良いかなと思います。

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