固くなったチェーンを、灯油洗浄・オイル漬け・オイル煮で軟らかくした!

機械

ある日、チェンソーに使うソーチェンが固くなってしまいました。

原因は、負荷の割にオイルの量が少なかったことでしょう。

普通ならもっとダランとなるはずなのに、固くなりすぎて持っても形を保ったままです。

 

こんな状態だと、チェンソーに取り付けられません。
もし取り付けられたとしても、滑りが悪すぎて負荷がかかり、エンジン本体を傷めてしまう恐れがあります。

普通なら新しいものに交換するべきですが、まだまだ寿命を表す刃の長さが長くて、捨てるにはもったいないです。
また、1本2,500円ほどするものですから、経済的にも悪いです。
ですから、甦らせられるなら、甦らせたい!

 

幸い、物理的な破損では無さそうですから、何とかやりようがあるかもしれません。

そこで、ネットの情報などを参考にして、固くなったチェーンを軟らかくする方法を色々と試してみました!

 

今回の記事もなかなかすんなりいきませんでしたが、最終的には何とか使えるようになりましたよ!

 

※今回の方法は、プレート間にゴムが無い『ノンシールチェーン』で行ったものです。
シールチェーンだと、ゴムが変質して悪化する恐れがあります。
バイク・自転車乗りの方はそこのところ重々承知の上、この記事を読み進めていただくと幸いです。

 

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灯油洗浄

まず、チェーンの徹底洗浄でよく使われる、『灯油洗浄』をやってみました。

チェーンにギトギトにこびりつくものの大抵は、オイルとゴミが混ざった油性の物質です。
油性の物質は水と混ざらないので、水をかけるだけでは洗い落とすことが出来ません。

そこで、同じ油性である灯油を使うわけです。
ガソリンなどでも良いですが、灯油のほうが安いし手に入れやすいので、よく使われていますね。

 

「固くなったソーチェンも、灯油洗浄すれば入り込んだゴミが落ちたりして、動きが滑らかになるのではないか?」

と考え、灯油に漬けながらプラスチックブラシで洗ってみました。
汚れがどんどん落ちて、灯油が黒くなっていきます。
これは期待できる!

 

 

…しかし、結果は上手くいきませんでした。

チェーンが綺麗にはなりましたが、動きが戻ることはほとんど無く。

 

諦めて、次の方法へ!

 

オイル漬け

チェーンの動きが固くなる原因は、汚れの他にも、「部品深部のオイルが飛んでしまった」ことも考えられます。

深部の場合だと、表面からサッとオイルを吹きかけるだけでは浸透しきらないと思います。

 

そこで、次に試したのが『長期オイル漬け』です。

「長期間のオイル漬けならオイルも徐々に浸透して、チェーンも軟らかくなるのではないか?」
と、考えたわけです。

使ったオイルは、安物の2サイクルエンジンオイルです。
粘度はVG56くらい。
どうせならもっと粘度が低い、サラサラのオイルを使ったほうが良かったかな?

 

予備のチェーンも既に持っているので急がずあせらず、長期間オイルに漬け込みました。

1週間に1度くらいは取り出して、チェーンを振ったり曲げたりして、オイルが浸透しやすくしました。

 

 

 

3か月後、少し軟らかくなりましたが、使えるレベルには至りませんでした。

流石に急いでないと言っても、これだけ時間が経っても元通りになる気配がないなら、諦めざるをえません…

 

しかし、諦めきれなかったYUは、チェーンを台無しにすること覚悟で最終手段を用いました。

 

オイル煮

『オイル煮』です。

その名の通り、チェーンをオイルを入れた鍋に漬け、熱して煮ることです。

 

『灯油洗浄』、『オイル漬け』などは比較的行われている事例ですが、オイル煮となるとネット上でも事例が少なくなります。
しかし、熱を加えれば金属が熱膨張するし、オイルの浸透力も強くなりますから、理屈上はイケそうだと考えるわけですね。

というわけで、実際にやってみました。

 


1回目

使ったオイルは、上述の2サイクルエンジンオイルです。

100均のステンレスボウルに、オイルとチェーンを入れ、野外に置いた自作ロケットストーブにセット!

オイル煮は大量の熱と、異臭の恐れがありますから、こうやって野外で行うほうが良さそうです。

 

オイルに熱が溜まり、ゴボゴボと沸騰してきました。
これは想定外。
2サイクルエンジンオイルの沸点って、意外に低いもの、なのかな?

 

しばらくはその様子を間近で見てましたが、ヤバいです。
これ、ヤバいです。

臭いがヤバイです。

嗅ぎ続けたら死にそうな異臭がします。

 

 

約30~60分間グツグツと煮込み。

そしてオイルが冷めた次の日、チェーンを取り出してみました。
少し軟らかくなった気がしますが、まだまだ固いです。

 

「オイル煮の時間が足りないのか?」

と考え、毎日の炊事・片付け完了後、ロケットストーブに薪を出来るだけ入れてボウルをセット。
自分は小屋内に戻って、ほぼほったらかしでオイル煮を続けることにしました。

 

3回目

毎回約60分間のオイル煮の、3回目。

最初に比べると大分軟らかくなってきました!

チェーンの端を持つとダランとしてきました。
しかしまだ動きが固いところが多いです。

 

2サイクルエンジンオイルは元々赤くて透明なオイルでしたが、熱を加えるうちに褐色へ…

また、沸騰してたからか量も少し減ってきました。

なので、何が入ってるのか分からない『廃油』を継ぎ足し。

 

5回目(終了)

そして5回目!

かなりチェーンが軟らかくなり、まだ若干固いところもありますが、引っ張ると真っすぐに出来るようになりました。

チェンソーに取り付けられるのか試してみると…

 

特に苦戦することなく、取り付けられました!

しかしまだ動きが完全じゃないので、エンジンをかけてもちゃんと回るのが分かりません。

というわけで、試運転。

 

結果、コナラの玉切りも無事にこなすことが出来ました!

 

まだ完全ではないから、もしかしたらチェーン以外の部品に負荷がかかっているのかもしれません。
しかしオイルを十分行き渡らせながら使っていたら、熱くなりがちなチェンソーの熱がオイルに伝わります。
それは加熱しながらオイルを浸透させる『オイル煮』みたいな効果になっていき、チェーンの動きも滑らかになるんじゃないかと推測します。

 

まあ何にせよ、「動きが固くなったチェーンは、オイル煮で元通りになることもある」、と結論付けます。

 

オイル煮は金属部品への最大級の洗浄力、浸透力、潤滑力を持つ方法です。

しかし、煮込んでるときの臭いがヤバイです。
換気は当然のこと、近所迷惑にならないかも考えたほうが良いでしょうね!w

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