販売用薪の出荷作業―商品にするために必要なこととは?

100kg薪

素人が試行錯誤しながら薪を生産して販売しようとしています。

伐採、玉切り、集材、薪割り、棚積み、営業としてきて、ようやく最後の作業『出荷』です。

 

今回は「商品」に仕上げていく作業の模様を、記録しておきます。

 

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梱包前準備

選別

薪棚から薪を取り出して、運搬車にすぐ載せる…

のではなくて、取り出しながら薪1本1本を見て選別します。

自分の場合、基準は以下のようなものとしました。

  • キノコが許容量以上に生えているか。生えていれば自家用へ。
  • 樹皮下に蟻が巣くっていないか。巣くっていれば自家用へ。
  • 薪の大きさは許容範囲内か。範囲外なら斧で割り直し。割れそうにないものは廃棄か自家用。

 

薪にはシートをかけて乾燥させています。
それでもシートが少し破けて雨漏りしてしまったり、木口面から雨水を多く吸収してキノコ菌糸が伸びていってしまうことがあったりしました。
そういう訳で、自分には選別工程が必要でした。

なお販売薪ならちゃんと乾燥しているかどうかを判別するため、「含水率」も測定するべきでしょう。
1本1本やるのは無理だから、薪棚毎・薪棚上部下部でいくらかサンプルを取り、基準値以上ならもう少し乾燥させる、など。
自分は格安で販売しているし諸事情によってそこまで手間がかけられないから、含水率選別まではしませんでした。

 

割り直し

大きすぎる薪は斧で割り直しです。

基準値は、木口面長径10cm以下。

体積的にはちょうど良くても、薄平なものは使いづらかったりする。
そういうものは半分に割っておきます。

 

山暮らし3rdシーズンに薪を作っていた時はさっさと薪作りを終えたかったからか、大きめのまま薪棚に積んだことが多かったです。
そのため、薪棚の2,3割は割り直しました…

ベストはやはり、薪棚に積む前に完璧に割っておくことでしょう。
大きいままだと乾燥も遅く、手間も増えて非効率です。

 

樹皮剥き・ブラッシング

薪の選別・割り直しが終われば、運搬車の近くにひとまず降ろします。

次の作業は、椅子に座りながらの樹皮剥き&ブラッシング。

 

樹皮と樹体の性質は大きく異なるので、乾燥によって体積差が顕著に表れ、剥けやすくなります。
運搬車などで運んだりして衝撃を与えると、簡単に剥けてしまいます。
樹皮も普通に燃えますが、やはり密度が低いので薪としては下等であり、剥けた樹皮単体をお客様に提供はしたくないものです。

そこで、剥けやすいものに限っては樹皮剥きを行います。
方法は簡単で、木口面の樹体と樹皮に出来た隙間に固い金属棒を突っ込み、テコの原理で剥ぐだけ。
樹皮は自家用燃料として使用します。

 

樹皮下には、キクイムシの幼虫が掃き出した糞が大量に付着している時があります。
見栄えは悪いし、その糞が別の薪を汚してしまう…

薪を使っている人なら薪にホコリはつきものである、ということはおそらく理解しているでしょう。
でも、販売している側としては、やはりホコリは少ないに越したことはない。

というわけで、1本1本ワイヤーブラシでブラッシングしました。
特に樹皮・樹皮下は汚れていることが多く、念入りにやりました。

ブラッシングすれば糞やホコリはほとんど取れるし、多少のキノコ跡も取れ、見栄えは良くなります。
ただの木片が『商品』になっていく実感もあります。

 

しかし、この作業、非常に時間がかかります。

座りながら作業が出来るから体力的には楽です。
でも薪の出荷作業時間の5割以上を占めるから、

YU

ここまではやらんで良いんじゃないか…

と、思いまくってましたw

 

YU

しかし!
こういうところにちゃんと手間をかけるのが、お金をもらって出荷する者の責任である!

そう考えて、結局全てブラッシングしました。

 

 

ブラッシングが終わったものは、ようやく軽量・梱包作業に移ります。

 


薪の計量・梱包方法

100kg単位で販売する場合

薪棚と薪受け渡し場所は少し離れているので、自分はそこまで運搬車で運びます。

運搬車にはあおりの拡張として、両側に合板を立てています。
この合板に「ここまで積んだら100kg」という基準線をペンで書いて、積載&計量を同時化して効率化を図りました
つまり梱包無し100kg出荷では、厳密に言えば重量ではなく体積で計量してました。

基準線を決める時は、農業用コンテナにいくらか積んで、重量計で測定して記録し、運搬車に積んでいきます。
100kgを超えたあたりで積んだ薪の上端から、基準線を決定。

もちろん含水率とか樹種によって密度は変わるから、基準線が正しいかどうかの確認は何回か行ってました。
薪棚の場所や樹種構成が変われば計量しなおしてましたね。
まあ結局、基準線は最初から最後までほぼ一緒で良かったのですが。

また、100kgを超えて出荷してしまうのは大丈夫ですが、100kg未満で出荷してしまうのは問題です。
基本的には基準線+αで積載し、超えた分はサービスにしてました。

計量&積載が終わったら、公道脇に降ろします。

シートを敷いて、手動ダンプでザザーっと。
…せっかく綺麗に積んだのに!w

なお注文量が100kgぴったりとかなら、運搬車に積んだままとしておきました。
地面に降ろした薪を拾うより、運搬車に積んだ薪を拾うほうが楽ですしね。

 

梱包無しの場合、100kg出荷準備するのにかかる時間は、30~45分程度。

 

10kg単位で梱包する場合

10kg単位で販売・お客様の注文に応じて、PPバンドで10kgに梱包したりしました。

PPバンドとストッパーは、ホームセンターで購入しました。
PPバンドを使えば他の紐類よりもm単価を安く出来るし、頑丈で、強力に締めやすくて、作業時間も短く出来ます。

薪は鉄輪で梱包、ってのが昔ながらのやり方ですが、鉄輪は処分が面倒ですからね。
お客様の手間とコストも考えれば、薪の梱包はPPバンドが現代のスタンダードじゃないかな?

 

バンド梱包の場合作業手順は、まずブラッシングを終えたものをコンテナに一時保管。
溜まったら、重量計を入れたコンテナの中で、10kgに計量。
ほぼぴったりに測れたら、PPバンドとストッパーでしっかり締めて梱包。
運搬車に10束(100kg)積んで、公道脇に運んで出荷準備完了。

 

なお、バンド梱包薪は動かしやすいので、時間がある時に在庫として生産&保管することが出来ます。

「明日の朝に200kg欲しいんですけど~!」
という急な注文でも特に苦労せず出荷できたりするのが利点ですね。

 

ただ、やはり梱包せずに出荷する場合よりも時間がかかります。
PPバンド梱包の場合、100kgの出荷準備時間は、45~60分くらい。

 

ブラッシングは必要か?

今回の一連の作業で、「普通ならやらんだろうな…」

と思う最たる作業が、『ブラッシング』

 

薪を運搬車に積んで運んでいると、ブラシが届かない場所からホコリが出て、結局ホコリまみれになってしまったりしてたんですよねえ…
でも、ブラッシングをしておくとホコリの総量は減るし。

「こんなホコリまみれの薪なんて、受け取らねえ!」

と言われるのも嫌だから、疑問を持ちながらやってみましたけどね。
ブラッシングやってたおかげからか、結局誰からもそういうことは言われませんでした。

 

しかし、効率化を図りたいならこの工程は極力省略するべきでしょう。
設備投資して、ビニールハウス内で乾燥させたり燻煙したりして防虫&完全雨避けすれば、この工程は省いても良いと思います。
省力化出来れば別の仕事も捗り、投資額も回収できるでしょう。

しかし山中ではビニールハウスを建てるのも難しいもの。
そういうところまで考えたら、やっぱり麓の平地のビニールハウス内で乾燥&出荷するのが効率良いかもしれない。

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