椎茸原木栽培 害菌の傾向と対策 18年秋

キノコ原木栽培

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観測した害菌と特徴

18年春(2,3月)に植菌し、5月に日当たり微妙な場所で鎧伏せした椎茸ホダ木ですが色々な害菌を見ました。

ネット上の資料などを参考にしながら同定し、その特徴をまず調べました。

 

クロコブタケ

多湿の伏せ込み地で発生。

今季の原木栽培で最も頻発。
この菌をいかにして抑えるかが成功のカギを握ると思われる。

 

ダイダイタケ
(キウロコタケ?)

多湿の伏せ込み地、水抜けの悪い大径木に発生。

今季で2番目に見る菌となった。

 

トリコデルマ

他の害菌と違って、椎茸菌糸に寄生する。
椎茸菌糸の成長阻害ではなく死滅させるので、蔓延前に処理の必要あり。
伏せ込み地の過湿や水抜けの悪いもの、木口面に土が付着した場合などに感染。

10月に見かけた確率は低いが、要注意な菌。

 

カワラタケ

多湿の伏せ込み地などに出現。

今回は1本だけ発生。

 

 

ちなみに本伏せ地の笠木をかけていない切り株には、高温・直射日光が当たる環境に発生するヒイロタケが発生していました。

 

 

傾向と対策

以上の今回発生した害菌の特徴と、5月にゴムタケが発生していたことを鑑みるに、全体的に多湿であったという可能性が高いです。

 

椎茸菌糸にとって多湿となった理由は、主に3つ考えられました。

  1. 最も通風性の悪い「鎧伏せ」をしたこと
  2. 常に直射日光が当たる場所でないのに、通風性を悪くする笠木をかけた野伏せとしたこと
  3. 小径木、大径木関わらず全て同じ仮伏せ・本伏せ方法としたこと

 

今回は直射日光がガンガン当たらない場所で本伏せをしたのですが、そのような場所は元々多湿になりやすい環境だったわけですから、「鎧伏せ」のような密集した置き方は避けたほうが良かったです。
水抜けの悪い大径木などでは「むかで伏せ」を、小径木では「鳥居伏せ」にしたほうが良かったかもしれません。

仮伏せの時点からも、小径木は「縦積み」でも良いでしょうが、大径木は「薪積み」として多湿に気を付けるべきだったでしょう。

笠木をかける「野伏せ」は直射日光が当たる裸地で行われていることが多いようですが、「鎧伏せ」の「野伏せ」はカラカラに乾くような場所でのみ許されるものだったでしょう。
今回は通風性を良くして直射日光を避けるため、笠木ではなくて遮光ネットを使ったほうが良かったかもしれません。

 

また、最もよく見かけた害菌が「クロコブタケ」だったのですが、この菌は木口面(切断面)から主に侵入するようです。
今回は原木の長さを90cmとしましたが、長めの120cmなどに玉切りすることで原木体積に対して木口面が減り、クロコブタケの侵入総量も減ったかもしれません。

 

鎧伏せなどのようなホダ木にホダ木を立てかけていく方法は支柱が必要ないのですが、少し崩れるとドミノ倒しのように多くのものが倒れてしまいます。
出稼ぎ中にいくらか倒れてしまっていたものがあるのですが、やはり地面に接して多湿環境になっていたので、害菌にやられていた確率もかなり高かったです。

見回りがあまり出来ない生活の場合、「合掌伏せ」のような崩れにくい伏せ方をしたほうが良かったでしょう。

 


クヌギの様子

今回は少しだけクヌギを使ったのですが、コナラよりもクロコブタケにやられている確率が高かったです。

「クヌギのホダ化は難しいが、椎茸の発生量と質が良い」と言われていますが、その難しさを肌で実感しました…

 

たった2本だけだったのですが、何と去年の12月に伐採したというのに、芽を出していたクヌギのほだ木がありました!

クヌギはコナラより落葉が早いから、伐採が遅れて全て枝干しになってしまって原木が乾燥せず、含水率が高い状態で植菌してしまったということか?
含水率が高いから、多湿環境を好むクロコブタケにやられまくっていた?

コナラはどれも芽を出していたものは無かったので、クヌギの伐採時期は気を付けたほうが良さそうです。
枝干しになる場合は即玉切り&上面シートがけ井桁積みで2ヶ月以上保存して乾燥、本伏せは乾燥しやすい伏せ方で?
でも本やネットで調べると、「クヌギは乾燥しやすい」らしいのに…

 

ほだ起こし後の管理について

本伏せ時に土に当たっていた箇所は、菌糸が固まって土もそのまま張り付いたままのときがよくありました。
この土は取り除いたほうが良いのか、それともせっかく伸びてきた椎茸の菌糸?だから木口から侵入しようとする害菌をシャットアウトするのか、疑問です。

ホダ化が進んでからも、木口面はトリコデルマ防止のため土に付けたら駄目なのか、地面から水分補給出来るから付けたほうがいいのか、よく分かりません。
使い終わった笠木などをホダ場に敷き詰めることも出来るが…

 

害菌にやられていそうなほだ木も、さっさと取り除くべきかどうか分かりません。

たまに皮が剥げてしまったりしますが、上の写真のように木口面的にはクロコブタケが侵入してそうに見えて、内部では椎茸菌糸が育っているという可能性もあるし。

 

まあでも、被害を拡大させるトリコデルマ菌の動向だけはちゃんとチェックすることにします。

トリコデルマが付着してそうなものには、なぜか持っていたナンバーテープをタッカーで取り付けて、すぐに分かるようにしてみました。

 

 

色々と失敗や反省点がありますから、やっぱり初年度は失敗しそうだなあと思います。
あれだけ苦労して、ちっぽけな報いしか返ってこないのは…

 

 

まあ、よくあることか!

手に職付けたり何者かになるには、地道に努力と研究を続けるしかないのさ。

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