薪の乾燥のための安い屋根としてのシートについて&掛け方のコツ

良い薪を作り、保管するには、雨避けの屋根が欠かせません。

薪の屋根の代表的なものとして「波板」がありますが、確かにこれは頑丈で安価です。
しかし、大量の薪を保管・乾燥させる必要のある弱小薪屋などでは、コストがかかりすぎます。

そこで、自分は波板屋根の代わりに、「シート屋根」をいくらか試してみました。
防水シートなら波板より安く、済ませることが出来ます。

 

今回の記事では、防水シートとしてどこにでも売っている「ブルーシート(ポリエチレン製防水ラミネートシート)」と、農業用として使われる「農ポリシート」の2種類を使ってみて分かったそれぞれの特徴と、シート掛けのコツを書いていきます!

 

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ブルーシートの特徴

いわゆる「ブルーシート」として、青色のものが普及している耐水・対候性ポリエチレンシートです。

ポリエチレン(PE)は、紫外線に弱いプラスチック類の中でも安価で、紫外線に強いという特徴があります。
他の安価なプラスチックとしてポリプロピレン(PP)がありますが、こちらは直射日光ですぐに劣化してバリバリになってしまいます。

ブルーシートはポリエステルなどの合成繊維も使用しており、おかげで引っ張りに強く、裂けにくい機能も付与されているいます。
また、市販されているものには隅に輪っかの「ハトメ」がついており、ここに紐をかけたりして固定することもしやすくなっています。

ブルーシートがなぜブルーなのか?には色々な説があるようですが、慣行的なものが大きいです。
青色じゃないとダメではないので、ネット上では以下のような緑色なども同じような価格で売られています。
個人的には、ブルーは目がチカチカするからあまり好きじゃないですね。
グリーンのほうが目に優しくて好きです。

 

薪の屋根としてシートを使う場合、継ぎ目を少なくするため、長いほうが使いやすいです。

ブルーシートには様々なサイズがありますが、3.6m×5.4mサイズくらいが、最も長さの割にコストパフォーマンスが良いです。

幅が大きすぎても、ハサミで簡単に切れますから、加工も簡単です。
自分の場合、30cm×2列の薪を覆うため、3.6m幅を3分割しました。
余裕あるかと思いきや、結構ギリギリでした(; ・`д・´)

 

ハトメがあるのでロープをかけやすい

薪にシートを掛ける場合、風でめくられないように固定するのが必須です。

シートの固定方法にも色々ありますが、ハトメにロープを掛けることも一つです。
ブルーシートには標準でハトメが付けられていますから、すぐに固定が出来ます。

カットした場合は隅のハトメが少なくなりますが、「ハトメポンチ」で増やしたりすることも可能です。

 

紫外線への耐久性・厚みについて

ブルーシートにはサイズだけでなくて、厚みと特徴もいくらか種類があります。

厚みがあるほど、穴が開きにくく、耐久期間が延びます。
屋根として使うならもちろん厚いほうが良いですが、その分価格も上がります。

メーカーによると、厚みと耐久期間の関係は、以下のようになるようです。

  1. #1000では、約1か月
  2. #2000では、3~6か月
  3. #3000では、約1年
  4. #4000のUV加工品(紫外線対策品)では、約2~3年

 

最も頑丈で耐久性があるのは#4000のUV加工品です。
価格は高いですが、耐久年数を考えると、コストパフォーマンスは良いです。
Amazonなどで調べると、#3000の2倍程度。
2~3年保てば、乾きづらい広葉樹の薪を2年乾燥させたい場合でも一度もシートを掛けなおす必要が無いので、作業も楽ですね!

上の写真は、自分の山で1年間直射日光に晒された#3000のシートの様子です。

最初は艶のあった表面も、風雨に晒されることでシワシワになり、少し薪のとがった部分が当たるだけで穴が開いてきました。

また、繊維が縦横に編まれて裂けにくいとされていますが、その繊維に沿って裂けることも増えてきました。
小さな穴なら薪の屋根としてはあまり問題ないですが、大きな裂けだと問題が出てきます。

 

シートの掛け直しや補修の手間がかかるので、#3000以下のシートを薪の屋根として使うのはちょっと微妙ですね。

 

農ポリ(PO・ビニールシート)の特徴

農ポリは、農業用ビニールシートに使われるプラスチック類のシートです。

農業用ビニールシートには他にも「塩化ビニル」もありますが、農ポリよりも対候性が少ないようです。
農業用ビニールシートには耐久性だけでなく光の透過性など、色々な機能が求められます。
しかし薪の屋根として使うなら防水と耐久性だけで考えれば良いですから、「農ポリ」の方が良いでしょう!

 

幅・長さの種類が豊富で、安価

農ポリにも様々なサイズがあって、「幅」と「長さ」と「厚み」がそれぞれ異なります。

「幅」は小さいもので90cm、大きいもので600cmなど!
薪の屋根として使うなら120~180cmくらいのものが使いやすいし、面積当たりの単価はあまり変わりませんから、このくらいがおススメ。

「長さ」は10mから200mなどで、長いものはロール巻として梱包されます。
薪の屋根ならやはり継ぎ目がない方がいいので、薪棚の端から端までを1回で覆えるようなサイズが良いでしょう。
ただし、長すぎるものは1巻が重くなりすぎて送料が特別料金になったりしますから、100m以下が良いのかも?

「厚み」はマルチ用の0.02mmから、ハウス外張り用の0.15mmまで。
厚いほど耐久性が上がりますから、薪の屋根としてなら0.1mmか0.15mmが良いかもです。
ただし、0.15mmのものはネット上では少ないため、0.1mmが現実的かもしれません。

 

自分が買ってみたのは、以下のような、幅150cm、長さ100m、厚み0.1mmのものです。
送料込みでも約7000円、m単価は70円ほど。
#4000のUVシートだとm単価200~300円くらいしますから、農ポリのほうが安価でした!

農ポリは普通のホームセンターでは販売していませんから、農協やネットで注文する必要があります。

設置の過程も記録しておきましょう。

長いものがロール巻で届くので、まずは必要なサイズにする必要があります。
いちいちメジャーで測らなくても、薪棚の端に引っかけて固定し、引っ張れば伸ばしていけます。

端から端まで届いたら、ハサミでカット。

薪棚の端から端までに被せれば、設置完了!

ブルーシートよりも継ぎ目を少なくすることが出来るし、幅の種類が豊富なのでいちいち縦方向にカットしなくても良いので、楽でした!

 


裂けにくい

農ポリは農ビよりも、裂けにくい特徴があります。
薪の屋根として使う場合は、穴と裂けによる雨漏りこそが大敵ですが、農ポリならその心配も少なくなります。

自分の印象としては、農ポリはブルーシートよりも裂けにくい、ような気がします。
ブルーシートは繊維が縦横に編まれているので裂けにくい、とされていますが、繊維方向には結構裂けやすい気がしました。
農ポリ設置時に尖った薪に引っかけてしまったりしたことがありましたが、穴は開いても一気にビリビリッ!と裂けることはありませんでした。

 

紫外線で劣化が進むとどのくらい裂けやすくなるかはまだ分かりませんので、分かり次第追記するかもです。

 

厚みと紫外線

農ポリもブルーシート同様、厚みによって耐久年数が異なります。

メーカーによると、以下のような関係らしいです。

  1. 0.1mmで、約2年
  2. 0.15mmで、約5年

ブルーシート同様、シートの掛け直しの手間なども考えて、厚いもののほうが良いでしょう。
ただ、0.1mmのシートで2年乾燥薪を作れます。

 

薪のシート掛けのコツ

ここからは薪棚にシートを掛けてみた時の体験から、気を付けるべきことを自分なりにまとめます。

シート屋根は波板屋根よりも安価に済ませられる反面、しっかりと問題なく設置するにはいくらかのコツがあります。

 

列の間の隙間に、水が落ち込まないように

薪の列が2列以上の場合、列の間に雨水が溜まってシートが落ち込んでしまいます。

シートが落ち込むと端が引っ張られ、薪が露出して雨がかかってしまいます。
また、水の重みで列が広がるような力が加わり、最悪、薪棚が前後方向に倒れてしまう恐れがあります。

 

対策として、薪棚の最上部に列間を隙間を埋めるように薪などを設置して、雨水が前後方向に落ちるようにします。

こうすれば横から見たら薪棚がカマボコ状になり、水が溜まることもありません。

列の間の薪は隙間を埋めるためだけの機能なので、薪割り時に剥けてしまった樹皮でも良いです。
薪よりも樹皮のほうが尖った部分が少ないので、シートを掛けた時に穴も開きにくいのでおススメです。

シートを掛けた後の薪棚は基本的に管理不要ですが、雨が降った後などはは様子を見に行きましょう。

雨水が中央部に溜まりすぎているところがあるなら、水が逃げるように薪や皮をシート下に差し込んだりします。

 

風でめくれないように

シート屋根の大敵は水が溜まるだけでなく、風で飛ぶこともあります。
波板のような剛性のある素材なら、石を置くだけでも十分です。
シート屋根でも石を置くだけで飛ばなくはなりますが、端の方がめくれてしまって雨がかかってしまいます。

シートのめくれ対策として、自分の場合は基本的に以下のような重しを乗せることにしました。

 

薪棚屋根からはみ出るくらいの長さの小丸太を設置し、シートが風でめくられないようにしました。

この方法だと小丸太に邪魔されて、シートがめくれようとしてもすぐに元通りになります。

ただし、この方法は風であおられる面積が広くなるので、小丸太には結構な風圧がかかります。
細い丸太を使う場合はすぐに落ちてしまうので、その上に更に石や丸太を置くなどの対策が必要です。

 

農ポリを使う場合はブルーシートなどのようにハトメが付いていませんが、以下のようなポンチで簡単に追加できます。
せめて4隅だけでも穴を開けて、ロープで縛ると安心です。

 

まとめ

大きな屋根のある場所を持ってない人にとっては、薪の保管・乾燥させる場所に苦労するかと思います。

少ない量の薪を頻繁に出し入れするなら、しっかりした剛性の有る薪棚を作るのが良いでしょう。

しかし大量の薪を安価に長期間保管・乾燥したいなら、自分がやったような「自立型井桁積薪棚」+「農ポリシート屋根」も良いと思います。
ただ、これらは安価に済ませられる反面、積み方にもシート掛けにもコツが必要です。
最初の内は多少失敗することもあるでしょうが、試してみる価値はあると思います!

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