林業用苗木とは?林業種苗法とは?スギやヒノキの苗木はどこで販売している?

苗木

林業業界にいた時、『苗木生産業』というものがあることを初めて知りました。

ホームセンターなどに果樹苗木や庭園用苗木が売っていたりしますが、林業用の苗木はちょっと違います。

今回の記事では林業用苗木と、それに関することを簡単に説明します。
苗木について興味がある人、生産して販売したい人にちょっと役立つ記事になっていれば幸いです。

意外にレアなスギやヒノキの苗木の入手方法も書いてますよ!

 

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林業用苗木(山行苗木)とは?

伐採跡地・裸地などに、将来の収穫を目的にして植栽する苗木です。
街路樹や崖崩れ跡地に植えるものは「緑化樹」などと言われるのに対して、林業用苗木はよく「山行苗木」とも呼ばれています。

他の苗木と違うポイントは、樹種数が少ない、大量に植えること、でしょうか。
針葉樹・広葉樹共にありますが、他の業界の苗木よりも、遥かに建築用材になる針葉樹を使用する割合が多いです。

特に、針葉樹の杉・檜・赤松・黒松・唐松・エゾマツ・琉球松は、『林業種苗法』という法律によって、生産・流通が制限されています。

 

林業種苗法

この法律は、種苗について優良な採取源の指定、生産の事業を行なう者の登録、配布の際の表示の適正化等に関する措置を定めることにより、優良な種苗の供給を確保し、もつて適正かつ円滑な造林を推進して林業総生産の増大及び林業の安定的発展に資することを目的。(第一条)

…と言ってもよく分からないので、事業者なら以下のところだけ知っていれば大体大丈夫です。

  • 生産事業者の登録が必要(第十条)
  • 商品への生産・配布事業者表示義務(第一八条)
  • 配布目的の種穂の採取の禁止(第二十三条)
  • 定められた区域にしか配布出来い(第二十四条)
  • 法律違反すると生産・配布が禁止される(第二十九条)

林業種苗法には他にも行政が行うべき採取源のこととか、講習会の開催についてなども書かれています。

定められた樹種の種苗(種や苗木)の生産・配布はメチャクチャ厳しいわけでもないですが、やはり色々な制限があるわけです。
山の中にあんなに多くの杉や檜が植わっているのに、ホームセンターなどに苗木が置かれてない理由は、この法律が存在することも一因でしょうね。

法律を知っていさえすれば誰でも特定樹種の種苗生産・配布が出来るわけではありません。
種苗に関する事業を始めたい人は、まず最初にお近くの林務課などに問い合わせて、始め方を具体的に教えてもらうことから始まります。

 


苗木生産業の現状

林業用苗木は木材価格が高騰していた時代に比べれば生産数もかなり少なくなりましたが、現代でも年間6000万本以上は作られています。
伐採面積が増えれば増えるほど植栽本数も増えますから、伐採を推し進めている最近では少しずつ苗木の需要も回復してきています。

作っている業者も色々ありますが、農家の副業だったり、果樹苗や庭園苗と並行して生産したり、伐採・造林業者が自前で確保するために生産したりと、様々な人がいます。
口に入るものではないので品質に対してはそこまでシビアにならなくてよく、既に所有している農業機械を使い回して生産出来ますから、副業に向いている事業だと言えるでしょう。

苗木は野菜と違って収穫時期に柔軟性がありますが、基本的には育ち過ぎても未熟過ぎてもいけません。
各都道府県では苗木の需要量と生産量を調整する会議を開いており、その会議で決定された本数のみを生産者たちは生産出来る、という仕組みになっています。
作れば作るほど売れるんだから、生産者は多く作りたいものです。
しかし生産総本数が決まっているので、本数を割り当てる生産者間での会議では、腹の探り合いとか争いにもなる、と聞いたことがありますw
そこら辺実際どうなっているかは、ピンからキリですね。

 

昔は根が露出した状態で流通させる『裸苗』がほとんどでしたが、最近は『コンテナ苗』というポット苗に似た土のついたものがどんどん伸びてきています。
コンテナ苗の生産は特別な資材が必要にはなりますが、植栽時期を選ばず、植栽時の手間が少なく、植栽後の活着率が良いなど、メリットが多いものです。
森林研究所や行政は、今のところこのコンテナ苗の普及を目指して色々と活動をしているようです。

今や日本の国民病となってしまった「花粉症」ですが、その対策のための少花粉・無花粉スギの量産も進められています。
しかし苗木は成長率や形状比などの経済的性能に優れたものを植える必要があるため、全部が全部簡単に花粉が少ないものに変えられてないのが現状です。

 

苗木の入手先

個人が杉や檜の苗木を入手する場合、お近くの森林組合に問い合わせて斡旋してもらうのが基本です。
時期になると森林組合が在庫を持つ、というわけではないので、注文してから受け取りまでは少し日が空く可能性が大きいです。

樹種、裸苗・コンテナ苗の違いなどによって価格は異なります。
基本的に裸苗のほうが安いですが、やはりピンキリですので、直接森林組合に聞くのが確実でしょう。

コンテナ苗は植栽時期に柔軟性があるので結構広い範囲の時期出荷できますが、裸苗は遅くとも春先までに注文しないと、また次の秋まで出荷停止になったりします。
欲しい人は、急ごう!

 

ほんの数本だけ欲しいのなら、以下のようなネット通販を使ってみるのも良いでしょう。

 


とりあえず自分が知っている限りの、林業用苗木についてのことを簡単に書いてみました。

もしもう少し知りたいことがある人がおられればコメントして下さい。
答えられるものは答えます!

 

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