椎茸原木栽培ほだ起こし 18年10月
今回の記事は「ほだ起こし」という作業についての記述がメイン。
害菌の様子と対策は別記事とします。
方法を模索しながらほだ起こし
2018年10月9日、春に本伏せしたほだ木を林内で「ほだ起こし」して、キノコが発生しても取りやすいようにしていくことにしました。
前々日と前日に藪山を整備してたのですが、地味すぎるので写真撮ってなかった…
いつも通りの低木伐採だったし。
キノコが発生するときに「鎧伏せ」などのような密集した置き方だと、キノコが歪んだ形となる恐れがあります。
ですから一般的には「むかで伏せ」や「合掌伏せ」という置き方で、空間を広々使います。
ただ「むかで伏せ」はほだ木にほだ木を立てかけていくもので、対して合掌伏せは支柱に立てかけていきます。
合掌伏せが一番場所の整備に時間がかかるのですが、キノコ採取も、天地返しも、害菌にやられたものの排除もしやすいのですね。
一度やってしまえば後は楽になる「合掌伏せ」を今のうちにやって、椎茸の伏せを完成させたい。
支柱ごときに市販品を購入して金を使いたくなかったので、伐採時に得られる細丸太を支柱にしていくことにしました。
参考書を読むと「竹」が最も使いやすいようですが、無いので…
立木や縦支柱に横支柱を取り付けていくのですが、こういう取り付けは初めてです。
ビスで留めてやろうか?とも思いましたが、案外強度が低いことが経験上分かっていたので、初めてやる縛りの「角縛り」をしていくことにしました。
ネットとかで勉強しますが、最初はよく分からなかった…。
で、何度もやっていくうちに分かってきました。
角縛りの手順は以下のようでした。
- 「ねじり結び」で始点を作る
- 直交する2本の丸太の外側を巻いて絡ませていく
- ↑の紐を締め付けるように、「割り」を入れて固定していく
- 「巻き結び」で終点をつくる
こういう丸太同士を繋ぐのを縛材法(ラッシング)と言うようで色々なやり方がありますが、どれも「割り」を入れるのがコツのようですね。
丸太を繋ぐときは縛材法の一つである「はさみ縛り」を用いますが、これも「割り」を入れるのがコツです。
なお使っているロープはホムセンで安く売られていた3mmPEロープ。
ポリエチレンは対候性があるので経年劣化で切れることは少なそうです。
…ツルツルで縛るのが大変ですが。
ちょっとだけですが支柱を取り付けたので、ほだ木を移動させていきます。
…はぁ、また単調な力仕事か。
本当は枝葉を捨てている外側には置かないつもりでしたが、支柱のバランスを取るため結局両側に置いていきました。
仮伏せは「縦積み」だったので天地返ししながら本伏せしましたが、ほだ起こし時ももちろん天地返ししました。
ほだ木は全て順調というわけでは全くなく、色々な椎茸以外の菌を見ました。
この黄色い派手なものは、調べてみるとダイダイタケorキウロコタケ?
…落ち込む。
まだ経験値不足なので、やられていると見えても捨てずにそのままセットです。
完璧にダメになったという判断が出来ませんから。
3,4本ほだ木抱えて運ぶのですが、降ろすときにちょっと傷つけて皮を剥いてしまったものもあります。
「害菌にやられまくっているのかな…」と思ってましたが、この白い内樹皮は椎茸菌糸?
それほどやられてない?
合掌伏せを始めて思いましたが、支柱立てがひじょ~に面倒くさいですね。
しかもこの日は蚊が多く、ひじょ~にうざい!
この日はやる気が出なくてあまり進まず…
本格的に開始
10月12日、雨がやんだ晴れの日。
丸2日、小屋内に引きこもってた…
体力もいっぱい溜まってるので、気合い入れて朝から作業です。
1列目は立木から立木へ横支柱を繋いでいけるようにしたのですが、2列目からは都合よい場所に立木があるとは限りません。
極力立木に繋いで強度を持たせますが、横支柱の長さが足りない時も多々あります。
杭を打って縦支柱にするのも良いのですが、加工が面倒だし打つのも大変だから、「はさみ縛り」で2脚を作り、そこを横支柱の継ぎ目にすることにしました。
また、丸太の支柱は形が歪ですから緩いUの字状に回転して支柱の高さが一定にならなくなったりするので、そういうときは1脚を入れて横支柱と「角縛り」することで方向を一定にさせました。
細い丸太ばかり使っていますが、縛れば縛るほど荷重が分散されて安定していきました。
支柱を立てて、ほだ木を立てかけ、また支柱を立てての繰り返し。
この日はそれなりに進みました。
やはり鎧伏せよりも合掌伏せのほうが場所を取りますね。
なんか景色が凄いことになってきた。
合掌伏せは、支柱さえ立てれば早いです。
しかし雑木を活用しながらの支柱立てとなりましたから、いちいち考えないといけなくて時間かかります。
竹が使い放題なら楽でしょう。
紐も大量に使いますから、荷重がもろにかかる場所では3mmPEロープを使い、横ずれさえしなければ良い場所なら安い麻紐を使用し、節約しました。
角縛りは大分素早く出来るようになってきました。
当初、最後の巻き結びで留めるのがなかなか綺麗に出来なかったですが、通常の巻き結びと違って2回紐の下を通すようにすれば上手くいきました。
鎧伏せしたものも半分くらい無くなりました。
…でもこれからは斜面下のものばかりか。
雨続きで体力余ってたのか、秋の気温となって蚊がいなくなったこともあってか、ほとんど休憩取らずにこの日は夕方5時まで作業出来ました。
10月13日、昨日と同じく単純作業。
支柱立ても最初よりかは素早く出来るようになりました。
始点に立木が無い時は小さな3脚作り、継ぎ目に2脚、横支柱の向きが変なら1脚。
高さは人間の膝~太股くらいが良いかな?
本伏せ場が斜面下なので、担いで登るのもきついっす…。
中くらいのものでも4本持てるほどほだ木は軽くなってきていますが、体力はやっぱり必要。
残りは少しで夕方5時になったのでこの日は終了。
あと1,2時間で終わりそう。
椎茸ほだ起こし終了!
10月14日、落葉する木々が少しずつ増え、コナラがドングリを落として冬に備え始める頃。
朝から買い出しして、昼3時から作業。
1時間だけやって、ほだ起こし終了です。
後に残ったのは、笠木。
正直笠木は集めるのも捨てるのも大変。
野伏せって、面倒なのでは?
並べたほだ木は、我ながらなかなか圧巻でした。
たった800本程度ですが、迫力だけはありますw
今後のより良い方法模索のため、忘れないようにほだ場の列と仮伏せ区の関係をメモ帳に記録。
どういう場所、どういう管理が最も良いのか?
マニュアルに何がベストかは書かれていますが、自分の土地の気候と労力に合ったベストな方法を見つけてみたいと思います。
ほだ場は常緑性のカシと落葉性のナラやコシアブラの混交林の中です。
落葉後でもギリギリ直射日光当たらない(葉が1層くらい)がベストのようですが、伐りすぎると取り戻せないので今はまだ余裕もって少し暗めにしてます。
落葉後でも樹冠が重なって2層以上になってたら枝打ちしたり伐採したりします。
なのでまだほだ場の整備は完璧とは言えず。
ちなみにご近所のほだ場はこんな感じ。
南向け斜面の、ヒノキ林の中。
通風性が良くて結構明るいです。
害菌にやられないのはこういうところなんだろうな。
今回行った「合掌伏せ」は支柱立てが面倒な作業でしたが、おかげでYUは角縛りと巻き結びをマスターしたぞ!
角縛りが出来るようになると一気に作れるものが増えます。
ワイルドな小丸太構造物を、ブッシュクラフトとして作ってやるんだ!
ディスカッション
コメント一覧
>>この白い内樹皮は椎茸菌糸?それほどやられてない?
内樹皮が白く、形成層がオレンジなので椎茸の菌糸です。
上手く菌を回しましたね^^
後は、時期がくれば椎茸が出てくるでしょう。
品種によって、ひと夏経過だったり、ふた夏経過だったり、低温刺激がいったりとか条件があるので、いつ出るかわかりませんが、週一ぐらいで見に行かないと気付いたら椎茸が腐ってたとかならないようにね!
本当ですか!良かった!
まだまだ経験値不足ですからちょくちょく椎茸菌糸や害菌の様子を見守っていきたいと思います。