18年山小屋バイト 退職日と感想

出稼ぎ・バイト

※アイキャッチと記事の内容はほとんど関係ありません!

 

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退職日

6月17日(日)、朝ご飯を食べ、「今日は基本的に部屋にいますので何かあったら呼んでください」と伝えて部屋内でブログの更新作業。
7時半頃、小屋番がバイト部屋へ

小屋番

それじゃあ退職ということで。
荷物まとめて下山して。

YU

えっ、今日?

小屋番

今日。
バスの時間あるから急いで。

こちとら帰る手配もあるっつうのに!と思いながら、即行でノートパソコンの電源を切って荷物を一気にザックに詰め込み、布団を畳んで掃除。
忘れものが無いか確認して、荷物を玄関へ。
30分未満で支度・片付け完了という、長期間生活しようとしていた自分にしては少ない荷物に少し自嘲的な笑みを浮かべる。

 

YU

支度と部屋の掃除終わりました。
後は下山するだけです。

小屋番

背負子は下の旅館に返却して

YU

…いや、ザック担いでいる状態で背負子降ろすのは無理じゃないですか?

小屋番

しょうがねえな、俺が降ろしてやるよ

YU

(降りるとき空の背負子に背負子縛り付けりゃ良いだけやろ?)
…ありがとうございます。

 

そして次の話題、

小屋番

で、だ。
いつも7月からこの小屋は繁忙期で、バイトは10月まで働くことを前提として日当は〇円にしている。
だから5,6月分の日当は見習い期間ということで(〇-1,000)円で良いかな?

なんてナメたことをぬかしおる。

YU

いやいや!
それは受け入れられません!
そういうことは最初に伝えて下さいよ!

小屋番

最初に!?

YU

(当たり前だろ!)最初に!
他の山小屋だって研修期間とその時の日当は明示しているでしょうが!

小屋番

はいはい、払います!
下の旅館で清算して!
(小さい声で)こんなの初めてだわ、はぁー情けない

YU

何やこいつ、雇用契約の概念知らんのか…

 

出発の時は見送り無し。
最後に「お客様もスタッフたちも素晴らしいけど、あんたとだけはやってらんねー!」と悪態つこうと思ったけど、奥の方行っちゃってたから言えなかった。てへぺろ(・ω<)
静かに下山開始。

下山中、熊除けの鈴を持ってない人がほとんどでした。
一昨日熊を見た場所で登山者に「熊を見たんで気を付けてください」と伝えると、「ええ!?そうなんですか!ありがとうございます!」と驚かれる。
やっぱりみんな知らねえじゃねえか!
なんでこの山域は熊の注意喚起一切しねえんだ!

 

登山口からバスに乗り、恐縮しながら旅館に入り、大婆様に往復分の旅費と日当を計算してもらって満額より若干プラスされて現金で受け取りました。
「おつりはいい」とのこと。
この時日当等の減額は一切打診されず。

大婆様

まあ、今回はご縁がなかったということかな。

YU

いやあのう、本当にこの旅館の方々もお客様方も素晴らしい方ばかりだったのですが、○○(小屋番の名前)とだけはやっていけなかった、というのが正直な理由です。

と伝えておく。

この後、バスに乗って帰ることも出来たのに、旅館から駅までは車で送ってくれるということで、図々しくも乗せてもらいました。
最後の最後まで色々していただいた旅館の方々には、自分なりに頑張って謝意を伝えました。
こういう感じで退職すると、何の罪も無い人たちにも御迷惑をおかけすることになるのは、やはり心が痛むものですね。
電車の待ち時間にスマホで夜行バスの予約をして、電車とバスで実家に帰りました。

 

後日談

6月18日、実家に帰り、惑いを振り払うべく事故と自殺の多いワインディングロードをバイクで飛ばし、現金で受け取ったバイト代にコンビニでおろした貯金をプラスし、現金50万円を奨学金返済分として親に渡しました。
あの時本気で「もうこの雇用主についていけない」と思ったのは確かですが、やはりもやもやとする金ですから親に渡しておくこととしました。
自分の娯楽のために使う気がしなかったんです…
残り250万円。

借金返済というストレス解消法があるから、自分は幸せ者だなあ。(白目)

 

感想

バスや電車の待ち時間や乗車時間に考えていましたが、山小屋運営は人手不足の業界であり応募をかけてもすぐにはバイトが集まらない、なんてことは小屋番も分かっていると思うのに、特に大失敗とはしなかったはずなのにネチネチと嫌味を言って満足度を下げようとする意図は何だったのでしょう?
同じ人手不足業界である林業で働いていた自分としては全く理解できません。
同僚や先輩に嫌な人がいて新人が嫌な思いして辞めるのはまあ分かるけど、雇用主自ら嫌がらせみたいなことをする理由は分かりません。

今回のバイトで、素晴らしいスタッフやお客様に囲まれていながらも、経営者一人の意向だけで全てが変わってしまうということを実感しました。
上場してないビジネスでもそれは経営者一人のものだけでなく、より良い社会のためのものであると自分は思ってます。
この事業内容は良いんだけど経営者は変わってほしいなんてとき、上場した株式会社以外ではどうすれば良いだろう?と弱小投資家でもある私は考えるのです。

…ここまで言うとちょっと言いすぎかと思うから少しフォローすると、最初の方は本当に普通というかむしろ良い人な印象だったのですよ。
退職申告少し前くらいから言い方が色々変わってきたので「一晩寝たら気分も回復するだろう」と思ってたのに特に変わらなかったから、「ああ、そういう人なんだな」と判断してしまったわけで。

 

でもまあ私自身、事業主としての行動力を手に入れたのと引き換えに、社畜としての忍耐力が失われた気もする。
安全対策をおろそかにする人間にはついていかない、っていうのは間違いではないとは思うけれど…

YU

僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた…

が、ならざるべきか?

 


他のバイトと比較すると、山小屋バイトは生活環境や拘束時間的にはあまり給料は見合ったものではないかも。
趣味の世界のバイトみたいなものだけど、案外毎日の余暇が必要ないような無趣味な人のほうが向いているかもしれません。
一人でやるということは共通だけどアウトドア的・インドア的趣味の両方を持つ自分としては、少し余暇の時間が少なすぎるように感じました。

また、山小屋バイトは登山を一切したことが無い人にとっては右も左も分からないから、持ってくるものの厳選とか小屋への行き来が大変かもしれません。
別の山小屋ではそうじゃないのかもしれませんが、今回私が行った小屋はある程度の登山経験があることがデフォルトとされてましたからねえ。
シティボーイには山上と下界の気候の違いとか、乾きやすい化繊の下着が良いとか、雪の上の歩き方などを全て知っているわけでもあるまい?
しかも道具が必要になったと言ってもすぐには調達できない環境だし。

後、業界全体が人手不足であり社会全体が少子高齢化になっているにも関わらず、応募に年齢制限付けているところが多いのはどうかと思いました。
確かに力仕事はそれなりにありますが、しかし少し弱った高齢者だって小屋内の掃除や配膳くらいなら十分出来るし、力のある人には力仕事に従事してもらうなど分担すりゃあ年齢制限なんていらないのに、と私は考えます。
法律はいかなる場合でも正しいとは私は言いませんが、雇用対策法改正により平成19年から事業主は年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとなっていますから(→厚生労働省)、正当で客観的な証明をせずに年齢制限しっぱなしなのは思いっきり法律違反してるんじゃないの?

景色はどのバイトの中でも抜群の良さでしたが、しかし高原や海沿いに位置しているホテルで働いてたって良い景色に囲まれながら働けるものでしょう。
また、自然と接しながら働けるかというと微妙なところです。
植物と接したいなら農家が良いし、動物と接したいなら畜産が良いでしょう。
山小屋バイトの利点を挙げるとしたら、夏場に仕事が豊富、小屋によって働ける期間が色々、金を使う場面が無いから浪費癖のある人には金が貯まりやすいということか?

 

まあ今回のバイトで分かったことを総評すると、やっぱり山小屋バイトは特殊なもので、普通の環境で住み込みで金貯めたいなら工場や別のリゾートバイトが良いかもしれない、と思いました。

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